神武天皇の長兄「彦五瀬命」をお祀りする【竈山神社】にて神武東征に想いを馳せる

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私が住む奈良県橿原市は私が住む奈良県橿原市は、神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことが初代神武天皇に即位された地です。

神倭伊波礼毘古命が日向を発ち、橿原の宮で即位されるまでの苦難の道中で亡くされた兄の彦五瀬命ひこいつせのみことをお祀りしている神社と御陵(竈山の御陵)が、和歌山市南部の竈山かまやまの地にあると知りお詣りして来ました。

今回は彦五瀬命をお祀りする竈山神社かまやまじんじゃをご紹介します。

アイキャッチ画像(竈山神社)
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神武天皇長兄「彦五瀬命」薨去の地「竈山」

和歌山市和田に鎮座する竈山神社かまやまじんじゃ彦五瀬命ひこいつせのみことをお祀りします。

彦五瀬命は初代神武天皇の長兄です。神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみこと(神武天皇)の東征に弟たちと従軍されたのですが、途中、長髄彦ながすねひことの戦いで負った傷が元で紀国の雄水門おのみなとに着いた所で亡くなられ、竈山かまやまに葬られました。

『延期式』神名帳に「紀伊国名草郡 竈山大社」とある由緒ある式内社です。明治初期までは小さな社でしたが、戦前の国家神道の発展に伴って最高の社格である官幣大社に位置づけられ、社殿等が整備されました。

竈山神社の境内の様子

鳥居前に「官幣大社 竈山神社」の社号標が建ちます。

竈山神社の社号標と鳥居

鳥居前は駐車場になっています。

こちらの鳥居は二の鳥居です。

竈山神社の二の鳥居

一の鳥居(大鳥居)は竈山駅から竈山神社へ向かう途中の和田川を渡ったところに建っています。

竈山神社の一の鳥居
竈山神社 – Wikipedia

二の鳥居の両側には、頭が小さい狛犬が建っています。

竈山神社の狛犬(左)
竈山神社の狛犬(右)

この形の狛犬は護国神社などでよく見られます。護国神社は国家のために殉難した人の英霊を祀るための神社です。

神武天皇の一行が、浪速国の孔舎衛坂くさえさかでの長髄彦との交戦の後、和歌山に向かったのは、五瀬命が「我々は日の神の御子だから、日に向かって(東に向かって)戦うのは良くない。廻り込んで日を背にして(西に向かって)戦おう」と助言したからです。

神武天皇が無事に大和国に入り平定できたのは、五瀬命の功績が大きかったと考えられたのでしょう。

こちらの記事では、神武天皇が即位された橿原の宮があった奈良県橿原市についてご紹介しています。

鳥居を潜ると緑豊かな参道が神門まで伸びています。

竈山神社の参道

森を抜けると開けた空間となり、その奥に神門が建っています。神門は銅板葺の平入切妻造の八脚門で、左側には廻廊が、右側には授与所が設けられています。

竈山神社の神門

神門の手前には手水舎が建っています。

竈山神社の手水舎

神門をくぐると正面奥に拝殿が建っています。

竈山神社の拝殿

拝殿は銅板葺の平入切妻造の正面に庇の付いた官幣大社らしい立派なものです。

竈山神社の拝殿 銅板葺の平入切妻造

本殿はかなり後方にあり、幣殿や木々に遮られているため殆ど見ることができません。

竈山神社の本殿

本社社殿の右側に三社の境内社が並んで建っています。左から「合祀社」「結社」「子安社」です。「子安社」には安産祈願の絵馬が多数奉納されていました。竈山神社は赤ちゃんの名付でも有名です。

竈山神社の境内社

本社拝殿の左側に外側へ出られる銅板葺平入切妻造の薬医門が建っています。

竈山神社の薬医門

この門を抜けて右側に「青葉神社」が鎮座します。青葉神社についての詳細は不明です。

竈山神社の境内社(青葉神社)

拝殿から神門を振り返ります。神門と拝殿とを結ぶ石畳には紀州青石が用いられています。

竈山神社の敷石(紀州青石)

紀州青石は緑色を呈するため緑泥片岩とも呼ばれ、古来から紀州では石垣、門柱、庭石、石碑、石畳など広く用いられています。こちらで思いがけず「和歌山らしさ」を拝見できました。

廻廊には酒樽が積まれていました。

竈山神社の廻廊に積まれた酒樽

和歌山市の天長島村酒造の「天長」・祝砲酒造の「祝砲」・田畑酒造の「羅生門」など、奈良県に住む私には馴染みの無いお酒ばかりで、興味深く拝見しました。機会があれば頂いてみたいです。

「雄叫び」を詠んだ本居宣長の和歌

社務所で頂いた御由緒書に本居宣長の和歌が載っていました。

をたけびの かみよのみこゑ おもほへて
あらしはげしき かまやまのまつ

寛政6年(1794年)の冬に竈山神社に詣でて詠まれたそうです。

「をたけびの」は彦五瀬命が雄水門おのみなとで「賊に傷つけられて死ぬとは」で雄叫びしたという逸話によるものと思われます。

本居宣長は江戸時代の国学者です。『古事記』の研究に取り組み、約35年を費やして当時の『古事記』研究の集大成である注釈書『古事記伝』を著しました。その研究で竈山神社に訪れたのかもしれません。『古事記伝』の完成は寛政10年(1797年)のことでした。

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竈山の御陵

本殿の背後には直径約6m、高さ約1mの円墳(竈山の御陵)があり、宮内庁により「神武天皇兄彦五瀬命 竈山墓」に治定されています。

竈山の御陵

竈山の御陵へは社務所脇の参道から橋を渡り、歩道に出て北にお進み下さい。

竈山神社から歩道へ出る橋

竈山の御陵についてはこちら記事でご紹介しています。
神武天皇の長兄「彦五瀬命」をお祀りする【竈山の御陵】で美しく平らかな日々に感謝する

境外摂社 静火神社

静火しずひ神社は和歌山県和歌山市和田に鎮座する式内社です。『延喜式』神名帳には名神大社に列せられ、古くは有力な神社だったようです。現在は竈山神社の境外摂社になっています。

竈山神社の境外社 静火神社

竈山神社の社務所で案内図を頂きました。

静火神社の案内図

静火神社についてはこちらの記事でご紹介しています。
竈山神社の境外摂社【静火神社】小高い丘の竹林の中にたたずむ静かなお社(和歌山市の神社)

竈山神社へのアクセス

和歌山県和歌山市和田438

鳥居の前に駐車場があります。

竈山神社への参拝をきっかけに「神武東征」について学びました。私が住む奈良県内にあるゆかりの地についても知識を深めようと思います。

西国三社参り

西国三社参りとは、和歌山市内ある「日前宮にちぜんぐう」「竈山神社」「伊太祁曽神社いたそきじんじゃ」という3つのを参拝することです。3つの神社を巡る道は古くから巡礼路として知られており、現在でもお正月になると多くの方が初詣に訪れられるそうです。

日前宮

日前宮は「日前神宮ひのくまじんぐう」と「國懸神宮」くにかかすじんぐうの二社一体の大社です。

日前神宮の主祭神は日前大神で、日像鏡ひがたのかがみを御神体とします。
國懸神宮の主祭神は國懸大神で、日矛鏡ひぼここのかがみを御神体とします。

御神体の鏡はいずれも伊勢神宮内宮の神宝である八咫鏡と同等のものとされ、準皇祖神の扱いを受けていました。

所在地:和歌山県和歌山市秋月365

伊太祁曽神社

木の神として祀られる五十猛命いたけるのみことが御祭神で、『日本書紀』には「日本各地に木種を蒔き、最後に和歌山県にお静まりになった」と記されています。

所在地:和歌山県和歌山市伊太祈曽558

どちらも『日本書紀』と『古事記』の逸話が伝わる神社様で、大変興味を持ちました。次回和歌山を訪れた際にお詣りしようと思います。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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