生まれも育ちも奈良県で今は橿原市に住んでいるみくるです。
近鉄大和八木駅南側に、橿原市役所分庁舎とホテルなどから構成される複合施設ミグランスが建っています。
愛称「ミグランス」は、県内一の高さのビルである複合施設から空高く舞う『トビ』をイメージし、市章にもなっているトビの学名『Milvus migrans(ミルヴス ミグランス)』から名付けられたものです。「日本国はじまりの地 橿原」の象徴であり、新しい時代に羽ばたいていくとの意味が込められています。
今回は、市役所分庁舎が入る施設の愛称となったミグランス記紀と橿原市の関りについてご紹介します。
記紀と橿原と金色の鵄(トビ)
記紀とは
記紀は、『古事記』と『日本書紀』との総称です。『古事記』の「記」と『日本書紀』の「紀」を併せて「記紀」といいます。
両書とも、奈良時代に編纂された日本神話や古代の歴史を伝えている歴史書です。そんな「記紀」に橿原にまつわる物語があります。
神武東征の物語
高天原と呼ばれる天上の世界を統率する神がアマテラス。その6代目がイワレビコ、のちの神武天皇です。
日向国で成長したイワレビコは天下を治めるべく、兄のイツセとともに東の地へ向かいました。
河内国の白肩津に着いた一行は、豪族ナガスネビコの激しい抵抗にあいます。イツセはこの時の傷が悪化し、紀国の男之水門で絶命。その後はイワレビコが中心となって進軍。熊野、吉野、宇陀、忍阪と進みながら、幾多の抵抗勢力を下していきました。 そして、兄を討ったナガスネビコとの再戦に勝利。
こちらの記事では、ナガスネビコとの戦いで亡くなったイツセノミコトをお祀りする和歌山市の竈山神社をご紹介しています。
この後イワレビコは、橿原の地に着き都作りに着手され、畝火(畝傍)の白檮原宮(橿原宮)で天皇として即位し、天下を治めました。初代・神武天皇の誕生です。橿原市の市名は、この「橿原宮」に由来しています。
➡橿原市の史跡を巡る【橿原神宮を歩く】橿原神宮前駅~畝傍御陵前駅(奈良県橿原市)
イワレビコはニニギの曾孫
記紀では天地が初めて2つに分かれたとき、男神イザナキと女神イザナミが現れます。この夫婦が日本の国を生み出しました。
その後、妻を失ったイザナキが日向国で、左の目を洗った時に生まれたのがアマテラスです。その孫ニニギが地上の世界を治めるため、高天原から日向の高千穂に下ります。これが天孫降臨です。さらにニニギの曾孫になるのがイワレビコ、初代神武天皇です。
こちらの記事では、イザナギとイザナミの「国生み神話」の舞台「おのころ島」の最有力候補地である「沼島」をご紹介しています。
イワレビコを救った金色に光輝く鵄(とび)
イワレビコが東征時、熊野で進む道に迷っていると、天上の高天原の神であるタカミムスヒが次のように告げます。「ここから奥に入ってはいけない。 今から天より八咫烏を遣わすので、その後をついて行きなさい」と。
目を覚ますと、烏が大空から飛んできて一行を先導しました。日本書紀によると兄のイツセを討ったナガスネビコとの再戦時に苦戦していると、イワレビコの弓の先に金色の鵄(とび)が飛来。そのまばゆい光で、ナガスネビコの目をくらませたとされています。
橿原市の市章は、この金の鵄が雄飛する姿と、「カシハラ」の頭文字「カ」をイメージしてデザインされました。
金の鵄のモニュメント
橿原市内には金の鵄のモニュメントが現在5ヵ所にあります。
- 橿原市役所本庁舎前(八木町1-1-18)
- かしはら万葉ホール東側(小房町11-5)
- 市営八木駅前北駐車場西隣(内膳町5-1-19)
- 大和八木駅南側ロータリー(内膳町1-1)
- 国道24号線株式会社ジェイテクト奈良工場南(十市町414-2)
見慣れたモニュメントですが、由来を知るとまた違った心持ちで見ることができました。
橿原宮跡に建てられた橿原神宮
記紀によると、東征により大和を平定した神武天皇はヒメタタライスズヒメ(三輪山に座すオオモノヌシの娘)を妃とし、畝傍山の東南・橿原の地で宮を建て、初代天皇として即位したとされています。その橿原宮の推定地に、1890(明治23)年に建てられたのが橿原神宮です。
➡橿原市の史跡を巡る【橿原神宮を歩く】橿原神宮前駅~畝傍御陵前駅(奈良県橿原市)
橿原神宮では金の鵄の形をしたおみくじが頂けます。
金ぴかのコロンとした可愛い形のゆるみくじです。
金鵄(きんし)みくじ
神武天皇様が最後まで抵抗する豪族との戦に苦戦されていた時、どこからともなく金色の鵄(とび)が飛来し、神武天皇様の一軍を勝利へ導いたとされ、瑞鳥(めでたい事 の前兆とされる鳥)と言われています。
橿原だより(平成28年12月31日)|橿原神宮
ミグランス10F展望フロア
歴史的風土や豊かな自然環境を保全するために、景観法において高さ規制されている奈良県において、ミグランスは奈良県一の高さ(10階建て、45m)を誇る建物です。
その高さを活かして10Fは展望フロアになっています。
金色に光る鵄と神武天皇の姿が描かれています。
展望フロアは午前9時から午後9時30分まで無料開放されていて、橿原の町並みや、大和三山の眺望を楽しむことができます。
展望フロアへは橿原市役所分庁舎中央(西側)のエレベーターをご利用下さい。
橿原市役所分庁舎 ミグランスへのアクセス
奈良県橿原市内膳町1丁目1−60
ミグランスの東玄関前に、ストリートファイターの「春麗」の銅像が建っています。
こちらの記事では、橿原市とストリートファイターとの関りについてご紹介しています。
最後までお読み頂きありがとうございます。