生まれも育ちも奈良県で、神社仏閣巡りが好きなみくるです。
今回は、奈良県宇陀市榛原赤埴の仏隆寺をご紹介します。石段の両側に咲き乱れる彼岸花と、天然記念物の山桜の美しさで知られるお寺です。

仏隆寺は室生寺の東西南北を守る南門と呼ばれ、榛原から室生寺へ抜ける赤埴越え(あかばねごえ)の途中に位置します。
室生寺の南門(正門)として、本寺と末社の関係にあります。
奈良県宇陀市の隠れた名所「仏隆寺」を訪ねて
仏隆寺の御由緒
奈良県宇陀市榛原赤埴に鎮座する仏隆寺(ぶつりゅうじ)は、真言宗室生寺派の寺院で、山号は摩尼山、ご本尊は、聖徳太子の作と伝わる十一面観音さまです。室生寺の南門に位置する古刹として知られています。
嘉祥3年(850年)に空海の高弟である堅恵が創建したと伝えられています。室生寺との関係も深く、本寺と末寺の関係にあったとされています。

嘉祥3年(850年)に弘法大師の高弟堅恵(けんね)が縣興継(あがたおきつぐ)を壇主として建立、その後、奈良興福寺別当修圓僧都により再興されました。
佛隆寺 | 奈良県歴史文化資源データベース | 奈良県歴史文化資源データベース「いかす・なら」 (pref.nara.jp)
秋の彼岸花と石段の風情
仏隆寺の197段の石段は、大和三名段(仏隆寺、段山神社、室生寺)のひとつです。

この日は見頃を過ぎていて、枯れ始めている彼岸花も多かったのですが、満開の頃は恐ろしいくらいに真っ赤に染まった様子が見られます(撮影日:2023年10月1日)。

見事な彼岸花を見ながら登る石段は197段もあると感じさせませんでした。

彼岸花の燃えるような赤と、古刹の静けさが織りなすコントラストは、写真映えも抜群です。
春を彩る圧巻の「千年桜」
佛隆寺のもう一つの見所は千年桜です。

樹齢900年以上とも言われるエドヒガン桜の大木は、奈良県下でも最古級の桜として県の天然記念物にも指定されており、例年4月中旬には、石段脇に堂々とそびえ立つその姿に、息をのむほどの美しさを見せてくれます。
仏隆寺の桜は天然記念物に指定されています。 pic.twitter.com/96R6PvSi1r
— 千田嘉博_城郭考古学 (@yoshi_nara) April 20, 2019
元はヤマザクラとされていましたが、鑑定により雑種と判明したこの木は、4月上旬に満開を迎え、壮大な花のトンネルを作り出します。夜にはライトアップも行われ、幻想的な美しさが訪れる人を魅了します。
学術上貴重な存在のモチヅキザクラ
モチヅキザクラはヤマザクラとエドヒガシの雑種です。

天然記念物 仏隆寺のサクラの巨樹 昭和58年3月15日指定
仏隆寺のヤマザクラとして指定(昭和53年3月28日)されていたこのサクラは、開花時に鑑定を受けたところ、ヤマザクラとエドヒガシの雑種であるモチヅキザクラであることが判明した。しかし、このモチヅキザクラは花柱に毛がなく、萼筒のふくらみが円筒状楕円型をしていて長いなど、ヤマザクラの形質も備えている点、学術上貴重な巨木である。
このサクラは、根囲7.7mに及び(中略)、樹勢は衰えておらず、県下で最大最古の株とされ、貴重な存在でもある。
奈良県教育委員会設置の説明板より
境内の様子
山門を潜り境内へ
石段を登り切ると山門があります。入山料200円をお納めして境内に入ります。

石段は彼岸花を見に来られた人で混雑していましたが、境内はひっそりと静かでした。

あいにくの雨でしたが、もやのかかる山が綺麗でした。

大和茶発祥の地
仏隆寺の開祖である堅恵は弘法大師が入唐した際に随行し、唐の徳宗皇帝より茶臼と茶の種子を拝受し、山内に苔の園という茶園を造りました。
このことから大和茶発祥伝承地として有名です。
空海が唐から持ち帰ったと言われる茶臼も寺宝として伝えられています。境内でお抹茶が頂けます(500円)。
本堂前に「大和茶発祥伝承地」の石碑がありました。

本堂

ご本尊として聖徳太子作と伝わる十一面観音立像を安置します。

本堂周辺は静寂に包まれ、鳥のさえずりや風の音が聞こえる自然豊かな空間です。

簡素ながら厳かな雰囲気で、訪れる人に静かな祈りの場を提供しています。
十三重石塔
本堂の裏に建つ十三重塔には元徳2年(1330年)の銘があります。室生寺の再興に尽力した修円の墓と伝えられます。高さ2.5m、幅80cmの小ぶりな石塔です。

苔むした石塔は、長い年月を経た趣を漂わせ、境内の歴史的雰囲気を高めています。
石室
仏隆寺を創建したとされる、空海の高弟の堅恵の廟と伝えられる石室です。重要文化財に指定されています。
三角形の頂点を一点に集めた形をした平安時代前期の宝形造りの様式をしています。

石室内には堅恵の墓といわれる五輪塔が安置されています。

仏隆寺へのアクセス
奈良県宇陀市榛原赤埴1684
拝観時間: 9:00~16:30
入山料: 200円(本堂拝観は別途300円、要予約の場合あり)
お車をご利用の場合
仏隆寺へは国道369号線から左折し、細い脇道を登ること約5分です。

仏隆寺の駐車場
無料で利用できます。
不便なところなので車でのアクセスがおすすめですが、10台ほどの小さな駐車場なので、彼岸花が見頃の時期や千年桜が咲く時期は、早朝から満車になります。
周辺は道が狭く、シーズン中は車で溢れるのでご注意下さい。

この坂道を上がって行くと室生寺に通じているようです。

公共交通機関をご利用の場合
近鉄大阪線・榛原駅で下車、曽爾行バスで約13分「高井」下車、徒歩約30分です。
最後までお読みいただきありがとうございます。