山の辺の道を歩く【玄賓庵】三輪山の麓に佇む玄賓僧都ゆかりの古刹(奈良県桜井市)

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古代ロマンを感じる史跡や美しい自然が楽しめる「山の辺の道」を歩くのが好きなみくるです。

前回の記事では、奈良県桜井市に鎮座する「八大龍王弁財天大神 龗神神社」をご紹介しました。

今回は、奈良県桜井市三輪山の麓にひっそりと佇む「玄賓庵げんぴんあん」をご紹介します。

玄賓庵は、平安時代の高僧・玄賓僧都げんぴんそうずにゆかりのある庵(庵跡)です。濃くなった緑と、長い白壁と石畳とがとても綺麗でした。

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三輪山奥之院 玄賓庵密寺

玄賓庵の概要

玄賓庵(げんぴんあん)は、奈良県桜井市茅原ちはらにある真言宗醍醐派の寺院で、三輪山の麓に佇む小さな古刹です。創建は9世紀頃と伝わります。

平安時代の高僧・玄賓僧都げんぴんそうずが晩年に隠棲したと伝えられる庵で、世阿弥作の謡曲「三輪みわの舞台としても知られています。

玄賓僧都は、桓武天皇・嵯峨天皇に信任された僧侶でしたが、俗事を避けて三輪山の麓に隠棲し、この庵を構えたとされます。

かつては三輪山の檜原谷にあり、山岳仏教の寺として大神神社の神宮寺(大御輪寺)に関連していましたが、明治初年の神仏分離により現在地に移されました。

玄賓庵の説明板には「げんぴあん」とふりがながありますが、玄賓は「げんぴん」と読むのが一般的です。

本堂には、国の重要文化財に指定されている木造不動明王坐像が安置されています。

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玄賓庵の境内の様子

玄賓庵の境内は、山の辺の道沿いにひっそりと佇む、静かで趣のある空間です。大規模な伽藍があるわけではなく、庵という名にふさわしい、こじんまりとした落ち着いた雰囲気があります。

簡素ながらも風格がある山門には、「三輪山奥之院 玄賓庵密寺」と書かれた表札がかかっており、三輪山との深い関わりを持つ、歴史ある密教寺院であることが伺えます。

境内を囲うようにある長い白塀が印象的です。

今回は、門の中には入らなかったので、202112月に撮影した写真をご紹介します。

境内の中心となるのは、こぢんまりとした本堂です。

この本堂は、かつて三輪山の檜原谷にあった玄賓庵の旧本堂が、明治の神仏分離により移築されたものと伝えられています。本尊である重要文化財の木造不動明王坐像が安置されています。

四面がガラス張りになった建物は護摩堂のようです。

中には護摩木があり、八大龍王さまの文字が見られました。

簡素ながらも手入れの行き届いた枯山水の庭園では、四季折々の草花が庵に風情を添えています。

境内には、様々な石仏や石塔、石標などが点在しており、修行大師像、三輪龍神碑、八大龍王社、白大神碑、石造十三重塔などが見られ、玄賓庵が辿ってきた歴史や信仰の深さを感じます。

境内には、俗世を離れた玄賓僧都の隠棲地らしい穏やかな空気が漂い、静かな時間が過ごせました。

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玄賓僧都と謡曲「三輪」と衣掛杉

謡曲「三輪」は、室町時代の能役者・能作者である世阿弥ぜあみが創作したとされる、代表的な女体物にょたいものの能楽作品の一つです。三輪明神を題材とし、玄賓僧都という高僧との交流を通して、神の本体である三輪明神の本地ほんじが明かされるという、幽玄な世界観を持つ曲です。

あらすじ

  • 玄賓が三輪山麓の玄賓庵にいると、夜に若い女性が現れ、三輪明神の神徳を語る。
  • 女性は神の化身で、衣掛杉に衣を掛けたとほのめかし、姿を消す。
  • 玄賓が大神神社に参拝すると、女性が三輪明神として再登場。神の舞を舞い、神の力を示して消える。

こちらは、大神神社の境内にある「衣掛杉ころもかけすぎ」です。拝殿に登る石段の右側に位置しており、小さな覆屋によって保護されています。

現在は、長い年月を経て枯れてしまい、その根元部分の株だけが保存されています。しかし、その株は周囲10mにも及ぶとされ、往時の巨木ぶりを偲ばせます。

謡曲「三輪」では、玄賓僧都が三輪山麓の玄賓庵で三輪明神の化身(若い女性)と出会い、神徳を聞く場面で「衣掛杉」が登場します。

この杉は神霊が宿る神聖な木とされ、物語の中で三輪明神がその衣を掛けたとされる象徴的な存在です。謡曲では「三輪の神杉」として描写され、衣掛杉がその一つと考えられています。

大神神社の大鳥居と三輪山

大神神社では、本殿を持たず、三輪山をご神体とするため、自然の中の神聖なもの(山・木・水など)に対する信仰が色濃く残っています。この衣掛杉も、神の気配を感じさせる霊木として長年大切にされています。

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玄賓僧都の墓所

玄賓庵の山門を過ぎて、石畳が美しい山の辺の道を北へ進みます。

玄賓僧都の墓と伝えられる石塔が見えて来ます。

墓所には苔むした石塔が静かに佇んでおり、往時を偲ばせます。

石塔の傍らには石仏群があります。

情報が無く詳細は不明です。

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玄賓庵へのアクセス

奈良県桜井市茅原373

駐車場はありません。
JR三輪駅から徒歩約30分。大神神社から山の辺の道を進み、狭井神社を過ぎて約15分で着きます。

無住の庵です。境内を散策される際は、山門にある賽銭箱にお心持をお納め下さい。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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