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【明日香村の万葉歌碑を歩く22】舎人娘子「真神原」の歌碑(明日香民俗資料館)

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明日香と万葉集が好きなみくるです。

明日香民俗資料館の展望台に立つと、真神原が静かに広がっています。
もしここに雪が降り積もったなら――そんな情景を思わせる万葉歌があります。

明日香と万葉集が好きなみくるです。
犬養万葉記念館でいただいた『明日香村の万葉歌碑を歩く』を片手に、40基すべてを巡っています。

今回は22番、舎人娘子(とねりのおとめ)の歌碑をご紹介します。犬養孝先生揮毫の歌碑が、展望台に建っています。

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展望台から望む真神原と「いたくな降りそ」に込められた願い

大口の真神の原に降る雪は…

歌碑に刻まれた歌

22番・舎人娘子(とねりのおとめ)の歌碑は、奈良県明日香村飛鳥の「明日香民俗資料館」の南西の広場に建っています。

大口の真神原に降る雪の歌碑
大口の真神原に降る雪の歌碑拡大

(原文)
大口能 真神之原尓 零雪者
甚莫零 家母不有國

万葉集 巻8-1636 舎人娘子
揮毫:犬養孝

(読み下し)
大口の 真神原に 降る雪は
いたくな降りそ 家もあらなくに

(かな)
おほくちの まがみがはらに ふるゆきは
いたくなふりそ いへもあらなくに

(現代語訳)
大口の真神の原に降る雪よ、ひどくは降らないでくれ。この辺りには家もないのだから。

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真神原とはどんな場所?

歌に詠まれる「真神の原」は、現在の明日香村に比定されています。
展望台から見渡すと、広やかな田畑が続き、遮るものの少ない野が広がります。

明日香民俗資料館の横の展望広場からの眺め

冬になれば、風は冷たく、身を寄せる場所も少ないことでしょう。
そんな土地に立つと、この歌の声がぐっと近くに感じられます。

「大口の真神」――枕詞の響き

「大口の」は「真神」にかかる枕詞です。
真神とは狼のこととされ、古代では畏れをこめて呼ばれた存在でした。

その荒々しい響きを帯びた地名に、しんしんと雪が降る。
強さと静けさが重なり合うような、不思議な情景が浮かびます。

「いたくな降りそ」に込められた願い

「いたくな降りそ」は、「ひどく降らないでほしい」という切実な願いです。
結びの「家もあらなくに」が、その理由をそっと添えます。

家がない――
それは単に建物がないというだけでなく、身を守るもののない心細さをも感じさせます。

雪に向かって語りかけるようなこの一首には、自然の中に立つ人の小さな祈りがにじんでいるようです。

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飛鳥時代の真神原

飛鳥時代の真神原にはこのような風景が広がっていました。

飛鳥時代の復元風景

『日本書紀』には、蘇我馬子が「初めて法興寺(飛鳥寺)を作る。此の地を飛鳥の真神原と名づく」とあります。現在の地名には残っていませんが、飛鳥の中心地一帯は真神原と呼ばれていたようです。

真神原は、恐れと神聖さが混じった特別の場所であったようで、柿本人麻呂は高市皇子への挽歌で

かけまくも ゆゆしきかも 言はまくも
あやにかしこき 明日香の 真神の原に

万葉集 巻2-199 柿本人麻呂

(現代語訳)
心にかけて思のもはばかられることよ。言葉に出していうにも、まことに畏れ多い明日香の真神の原に

と詠んでいます。

明日香民俗資料館の展望広場からの眺め2

大口の真神原」を詠んだ歌はもう一首あります。「大口の」は枕詞で、口が大きい意で、オオカミすなわち真神にかかるとされます。

(読み下し)
三諸の 神奈備山ゆ との曇り
雨は降り来ぬ 雨霧らひ 風さへ吹きぬ
大口の 真神の原ゆ 思ひつつ
帰りに人 家に至りきや

万葉集 巻13-3268 作者未詳

(現代語訳)
神奈備山から、雲が広がり雨が降り出した。天に霧が立ち込め、風も吹いてきた。大口の真神の原を、もの思いに沈みながら帰って行ったあの人は、もう家についたのであろうか。

この歌は、夫が妻の家を出た後、予期せぬ天候の変化がおこり、夫の身を案じる妻の気持ちを詠んだものです。

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明日香民俗資料館

明日香民俗資料館」は「奈良県立万葉文化館」に併設されています。

1階は新規起業者のチャレンジショップ(明日香夢)として、6店舗が入店しています。 2階は民俗資料が展示されていて、昭和時代のノスタルジックな家電製品などがあるほか、農具・民具を中心とした道具類などが並んでいます。

「真神原の万葉歌碑」は、明日香民俗資料館横の真神原が俯瞰できる木製デッキの横に建てられています。

明日香民俗資料館の真神原が俯瞰できる木製デッキ

真神が原の万葉歌碑へのアクセス

奈良県高市郡明日香村岡1150

奈良県立万葉文化館の駐車場(無料)が利用できます。

奈良県立万葉文化館の駐車場

明日香村の万葉歌碑を歩く

こちらの記事では、「犬養万葉記念館」で頂いた『明日香村の万葉歌碑を歩く』に掲載されている万葉歌碑40基をまとめてご紹介しています。

犬養先生が揮毫された万葉歌碑は日本全国に141基あり、その内の15基が明日香村にあります。
犬養先生の足跡を辿るような気持ちで、万葉歌碑を見て歩いています。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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