明日香村の万葉歌碑を歩く【橘寺を詠んだ唯一の万葉歌】会津八一が聖徳太子を詠んだ歌も

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明日香と万葉集が好きなみくるです。

犬養万葉記念館で頂いた「明日香村の万葉歌碑を歩く」を片手に万葉歌碑巡り、40基全て見て歩こうと思っています。

今回は「明日香村の万葉歌碑を歩く」27番の橘寺を詠んだ歌と、会津八一の歌碑と、杉森節子さんの句碑をご紹介します。3基とも橘寺の境内に建っています

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橘寺境内の歌碑

聖徳太子ゆかりの橘寺

橘寺たちばなでらは、奈良県高市郡明日香村にある天台宗の寺院です。聖徳太子誕生の地といわれ、太子建立の7カ寺の一つ。当初は66もの堂宇が立ち並ぶ大寺院でしたが、現在は江戸期に再建された本堂(太子殿)など、わずかな諸堂を残すのみとなっています。

橘寺境内図

橘寺についてはこちらの記事でご紹介しています。

橘寺を詠んだ万葉歌

橘寺を詠んだ万葉歌の歌碑は、境内図15番の収蔵庫(聖倉殿)の横に建っています。

(題詞)
古歌曰(古歌に曰はく)

(原文)
橘寺之 長屋尒 吾率宿之
童女波奈理波髪 上都良武可

『万葉集』巻16-3822 作者未詳

(読み下し)
橘の 寺の長屋に 吾率寝ゐね
童女放髪うなゐはなりは 髪あげつらむか

(現代語訳)
橘の寺の長屋に連れて来て寝た童女髪わらわがみの少女は、今ごろはもう髪上げして誰かの妻になっているだろうか

この歌は、題詞に「古歌に曰はく」とあるように、古い時代から詠い継がれてきた伝誦歌です。

橘の寺は、橘寺のことです。長屋は、寺の僧侶たちが寝泊まりする僧房のことでしょうか。

歌の内容は「橘の寺の長屋に連れて来て寝た童女髪の少女は、今ごろはもう髪上げして誰かの妻になっているだろうか」と、かつて橘寺の長屋に連れ込んで一緒に寝た幼かった少女は、今頃はもう他の人の妻になっているだろうかと想像した一首となっています。

『万葉集』で「橘寺」が詠まれたのはこの一首のみです。この歌碑は「飛鳥古京を守る会」により設置され、2012年11月25日に除幕式が行われました。

飛鳥の歴史的景観を守る活動を続けてきた「飛鳥古京を守る会」は、40年にわたる役割を終え、2011年より「飛鳥を愛する会」として再出発しています。

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会津八一の歌碑

会津八一あいづ やいちの歌碑は本堂(太子堂)の横に建っています。

くろこまのあさの あがきに ふませたる
おかのくさねと なづさひぞこし

黒駒の朝の 足掻あがきに 踏ませたる
岡の草根と なづさひぞ来し

会津八一

(現代語訳)
聖徳太子が朝、黒い馬に乗って走り、その馬に踏ませたのがこの岡の草だと懐かしく思いながら、心を込めて橘寺のあるこの辺りにやって来た

会津八一(あいづ やいち 1881年 – 1956年)

日本の著名な歌人、美術史家、書家。雅号を秋艸道人・渾斎とし、1951年に新潟市の名誉市民に選ばれました。早稲田大学英文科を卒業し、特に奈良の仏教美術に深い関心を寄せました。

彼の短歌は万葉調のひらがな詩が特徴で、その作品集『南京新唱』(1924年)には多くの名作が収められています。また、1940年には歌集『鹿鳴集』を発行し、その後も随筆集や書画図録など、多くの著作を残しました。

奈良を愛し、奈良の地に没してもよいとまで考えた会津八一が、聖徳太子への思慕を込めて詠んだ歌です。太子が黒駒に乗り颯爽と駆ける姿が浮かんできます。

聖徳太子の愛馬と伝えられる黒駒くろこまは、達磨大師の化身とも言われます。聖徳太子は黒駒に乗って各地の説法に行かれたといいます。

本堂の前に黒駒の像があります。

この歌碑も、橘寺を詠んだ万葉歌の歌碑と同じく「飛鳥古京を守る会」により設置され、2012年11月25日に除幕式が行われました。

杉森節子さんの句碑

杉森節子さんの句碑は、西門を入ってすぐのところに建っています。

み仏の ひざのぬくみの 中にいる
節子

お寺にお参りした時に感じられる、仏様ひざの温もりの中にいるような安堵感を詠んだ句でしょうか。

杉森節子さんは川柳作家で、奈良県川柳連盟理事長を務められている方です。句碑は平成2年(1990年)3月吉日に設置されました。

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橘寺へのアクセスと駐車場

奈良県高市郡明日香村橘532

近鉄 橿原神宮前駅又は飛鳥駅より
明日香周遊バス 川原または岡橋本下車 徒歩5分

無料駐車場は西門前に二か所と東門(正門)前にあります。

西門前駐車場

こちらの記事では、「明日香村の万葉歌碑を歩く」28番の橘寺の裏参道沿いに建つ歌碑をご紹介しています。柿本人麻呂が妻の死を悲しんで詠んだ挽歌です。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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