【山の辺の道の歌碑めぐり】檜原の山を讃えて詠んだ歌~柿本人麻呂歌集より(奈良県桜井市)

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景色を楽しみながら歌碑を訪ね歩き、いにしえの歌人の思いに触れるのが好きなみくるです。

日本最古の道「山の辺の道」には38基もの歌碑が建てられています。全部を見つけたいと思っています。

今回は、観光パンフレット「山の辺の道」に掲載されている中から、21番の柿本人麻呂かきのもとひとまろの歌碑をご紹介します。正確には、「柿本人麻呂歌集」からの歌です。

噂にのみ聞いていた巻向山まきむくやまを実際に見ることの出来た喜びを詠った一首となっています。

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『万葉集』巻7-1092 柿本人麻呂歌集

鳴神の音のみ聞きし巻向の

今回ご紹介する柿本人麻呂かきのもとひとまろの歌碑は、奈良県桜井市三輪の井寺池いでらいけ東側の農道脇に建っています(井寺池周辺案内図のの歌碑)。

井寺池は、奈良県桜井市三輪の檜原神社ひばらじんじゃの近くにある池です。西に大和平野を、東に三輪山みわやまを一望できるビューポイントとして知られています。

こちらの記事では、井寺池の畔に建つ倭建命やまとたけるのみことの歌碑(井寺池周辺案内図のの歌碑)と、井寺池の景観をご紹介しています。

歌碑が建つのは、井寺池から少し離れた農道脇です。

農道から少し降りた所の柿畑の中にあって、見逃しそうでした。

(原文)
動神之 音耳聞 巻向之
檜原山乎 今日見鶴鴨

(読み下し)
鳴神なるかみの 音のみ聞きし 巻向まきむく
檜原ひばらの山を 今日けふ見つるかも

万葉集 巻7-1092 柿本人麻呂
揮毫者 千 玄室(15代 千 宗室)

(現代語訳)
雷のような大変な評判だけ聞いていた、この巻向の檜原の山を、やっとのおもいで今日は見たことよ。

今回ご紹介している歌は、観光パンフレット「山の辺の道」では、柿本人麻呂の歌として紹介されているのですが、正確には、「柿本人麻呂歌集」の歌です。
※左注に「右柿本朝臣人麻呂歌集出」とあります。左注は、歌の左に書かれた作者名や作歌事情などを記した注です。

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歌の内容

噂にのみに聞いていた巻向山を実際に見ることの出来た喜びを詠った一首です。

鳴神(なるかみ)」は雷のことで、「鳴神の」はこの歌の場合は「音」にかかる枕詞として使用されています。「巻向(まきむく)の檜原(ひばら)の山」は、現在の奈良県桜井市にある檜原神社あたりの山のことでしょうか。

こちらの記事では、檜原神社周辺の桜景色をご紹介しています。

巻向周辺は、現在では杉の植林が増えていますが、万葉の時代には「三輪の檜原」や「泊瀬の檜原」などと並んでひのきの原が広がっていたようです。
そんな巻向の檜原の山を讃えて詠んだ土地讃めの一首となっています。

柿本人麻呂と巻向

柿本人麻呂歌集」は現存していないため詳細は不明ですが、その名の通り柿本人麻呂によって編まれた歌集で人麻呂自身の歌や朝廷の人々の歌などを中心に収録されていたようです。

この歌も柿本人麻呂自身の作か、あるいは人麻呂が収集した伝誦歌のひとつだったのでしょうね。巻向山麓の里に柿本人麻呂の妻が住んでいたので、この付近の自然を歌った作品が多くあります。

愛する妻のもとに足繫く通ったのでしょうね。井寺池の付近には「柿本人麻呂歌集」からの歌が3首あります。

こちらの記事では、檜原坂に建つ歌碑をご紹介しています(井寺池周辺案内図のの歌碑)。檜原の神聖さを讃えた歌です。

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千 玄室さんのこと

今回ご紹介した歌碑を揮毫された千玄室せんげんしつさん(1923‐)は、茶道裏千家前家元15代です。2023年4月19日に、満100歳を迎えられました。

歌碑は、昭和58年(1983年)に設置されました。千玄室さんがこの歌を揮毫された理由は分からずでしたが、『万葉集』に造詣が深い方で、こちらのサイトに「万葉の言の葉のお話」が載っていました。産経新聞(平成30年4月22日)に掲載されたそうです。

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井寺池へのアクセス

奈良県桜井市三輪

今回ご紹介している『万葉集』巻7-1092の歌碑は、グーグルマップに掲載がなく、少し迷いました。

檜原神社から少し西へ下った所にある「桧原わらべ花の里」の前にも、歌碑の案内図が建っています。

桧原わらべ花の里については、こちらの記事でご紹介しています。

桧原わらべ花の里の前に建つ「万葉の歌碑案内図」です。

案内図の前に、北へ延びる農道があります。

歌碑が建つのは、この農道を進んだ先です。

農道は坂道になっていて、登った先には、耳成山や畝傍山や青垣の山々を望める美しい景色が広がっていました。

歌碑が建つ少し手前に、左手(西)に分かれる道があります。

この道を進むと、井寺池の畔に建つ歌碑があります(井寺池周辺案内図のの歌碑)。

なので、今回ご紹介した歌碑は、井寺池の畔に建つ3つの歌碑に続いて見ることができたのですが、前回に行った時は場所が分からずでした。

井寺池周辺案内図のの歌碑は、こちらの記事でご紹介しています。三輪山の美しさを詠んだ久松潜一ひさまつせんいち氏揮毫の歌碑です。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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