明日香と万葉集が好きなみくるです。
犬養万葉記念館で頂いた「明日香村の万葉歌碑を歩く」を片手に万葉歌碑巡り、40基全て見て歩こうと思っています。
今回は「明日香村万葉歌碑を歩く」5番の、元明天皇が平城京に移られるときに、明日香への想いを詠まれた歌をご紹介します。
飛ぶ鳥の明日香の里を置きて去なば【元明天皇】
歌碑は奈良県高市郡明日香村雷にあります。
雷橋より飛鳥川沿いの遊歩道を上流側へ300mほど行ったあたりです。
対岸に「バス停 甘樫丘」と「豊浦休憩所」が見えます。
(題詞)
和銅三年庚戌春二月 藤原宮より寧樂宮に遷る時 御輿を長屋の原に停めて 古郷を廻望て作らす歌
一書に云く 太上天皇の御製
(原文)
飛鳥 明日香能里乎 置而伊奈婆
君之當者 不所見香聞安良武
巻1-78 元明天皇
(書き下し)
飛ぶ鳥の 明日香の里を 置きて去なば
君があたりは 見えずかもあらむ
(現代語訳)
飛ぶ鳥の明日香の里を後に残して行ってしまったら
あなたのいらっしゃるあたりは見えなくなってしまうのだろうか。
題詞にある「和銅三年庚戌春二月 藤原宮より寧樂宮に遷る時」というのは、710年(和銅3年)の3月に都が藤原京から平城京に移った時のことをいいます。
元明天皇は1か月前の2月に藤原京を出発し、中ツ道を通って平城京へ向かわれました。
途中の長屋の原(天理市西井戸町付近)にて休息をとった時に、明日香を振り返って詠まれたのがこの歌なのです。
藤原京からは見えていた明日香も、長屋の原まで来ると見ることができません。
住み慣れた地を離れることに、心を痛められたのでしょう。
元明天皇が見られた景色
元明天皇の夫の草壁皇子(持統天皇の皇子)は27歳の若さで亡くなりました。
君があたりというのは、草壁皇子が眠る場所を指すのかもしれません。
草壁皇子は天皇に即位することなく亡くなりましたが、死後に「岡宮天皇」と追尊されました。
こんもりとした丘が、「岡宮天皇 真弓丘陵」です。
「岡宮天皇陵」は飛鳥と紀伊国を結ぶ古道「紀路」沿いの真弓丘陵(高取町森)にあります。
(陵墓を「束明神古墳」とする説もあります)
元明天皇もこのような景色を見られたのかもしれません。
歌碑「飛ぶ鳥の明日香の里を置きて去なば」のアクセス
奈良県高市郡明日香村雷
雷橋より飛鳥川沿いの遊歩道を上流側へ300mほど行ったあたりの、「豊浦休憩所」と甘樫丘のバス停の対岸にあります。
豊浦休憩所です。
自動販売機とトイレがあります。
すぐ隣に有料の駐車場「甘樫丘第2駐車場」(普通車500円」)もあります。
おすすめの本
奈良万葉の旅百首 奈良まほろばソムリエの会 著 上野誠 監修
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