明日香と万葉集が好きなみくるです。
犬養万葉記念館で頂いた「明日香村の万葉歌碑を歩く」を片手に万葉歌碑巡り、40基全て見て歩こうと思っています。
今回は「明日香村の万葉歌碑を歩く」39番の明日香川を詠んだ歌をご紹介します。
明日香村の万葉歌碑を歩く
今行きて聞くものにもが明日香川
39番の歌碑は、奥明日香・栢森の集落入口に建っています。
県道15号線は飛鳥川に沿うように設けられています。
(題詞)
詠河(川を詠む)
(原文)
今徃而 聞物尓毛我 明日香川
春雨零而 瀧津湍音乎
万葉集 巻10-1878 作者未詳
(読み下し)
今行きて 聞くものにもが 明日香川
春雨降りて 激つ瀬の音を
(現代語訳)
今行って聞くことができればいいのに。明日香川に春雨が降って、激しく流れる瀬の音を。
(揮毫者)
西岡善信
「瀬」は、川の浅い流れの早いところをいいます。
奥飛鳥の文化的景観
飛鳥川上流の五大字(稲渕・栢森・入谷の全域と祝戸・阪田の一部)では、集落景観と棚田や森林を含めた「奥明日香の文化的景観」が、国の重要文化的景観に選定されています。
奥飛鳥は日本の原風景である伝統的な山村の景色を今に残す貴重な地域です。
万葉集と飛鳥川
飛鳥川は「明日香川」と表記され、『万葉集』の中に多く詠まれています。万葉びとは暮らしの中の一部としてこの川をとらえていたようです。
川の流れに恋心を重ね、恋人や亡き人をしのぶ歌も多く残されています。
(読み下し)
明日香川 瀬々の玉藻の うちなびき
情は妹に 寄りにけるかも
巻13-3267 作者未詳
(現代語訳)
明日香川の瀬々の玉藻がうちなびくように、心はあの娘になびき寄ってしまった。
『万葉集』では、飛鳥川の流れの速さや移りゆく淵や瀬が、月日の流れの早さの比喩としても用いれ、やがて鴨長明の『方丈記』の冒頭にみられるような、人の世の移ろいやすさ、無常観へとつながり、日本独特の河川観が形成されていきました。
栢森の歌碑へのアクセス
奈良県明日香村栢森
グーグルマップに「奥明日香」と表記されている場所は、あすかデマンド乗合交通「栢森」の停留所になっています。
あすかデマンド乗合交通はタクシー車両を利用した停留所で乗り降りする公共交通です。
どなたでもご利用できます。
詳しくは、明日香村の公式ホームページをご覧下さい。
➡あすかデマンド乗合交通 | 明日香村 公式ホームページ
栢森集落には入らずに、県道15号線を北に少し進むと歌碑が見えて来ます。
栢森集落には「加夜奈留美命神社」があり、境内には40番の歌碑が建っています。
明日香村の万葉歌碑
「犬養万葉記念館」で頂いた『明日香村の万葉歌碑を歩く』に掲載されている万葉歌碑40基をまとめてご紹介しています。
犬養先生が揮毫された万葉歌碑は日本全国に141基あり、その内の15基が明日香村にあります。犬養先生の足跡を辿るような気持ちで、万葉歌碑を見て歩いています。
こちらの記事では、明日香川に渡した「石橋(飛石)」を詠んだ歌をご紹介しています。
最後までお読み頂きありがとうございます。