【なぞりがき百人一首】清少納言にプレッシャーを与える存在「42番/清原元輔」〈光る君へ〉

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ユーキャンさんのおうち時間シリーズ『なぞりがき百人一首』を楽しみながら、「光る君へ」の場面を思い出しているみくるです。

今回は清少納言の父・清原元輔が詠んだ『 百人一首』42番の歌をご紹介します。

なぞりがき百人一首 表紙

『なぞりがき百人一首』は和歌の世界をなぞりがきで体感できる本です。一首づつなぞりながら丁寧に鑑賞しています。

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契りきな かたみに袖を しぼりつつ

『百人一首』42番の清原元輔の歌はラブレターの代筆を頼まれて詠んだ歌です。

なぞりがき百人一首 清原元輔の歌

契りきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波越さじとは

42番/清原元輔

(現代語訳)
二人で涙で濡れる袖を絞りながら誓い合いましたよね。末の松山を波が越すことはないと(お互い心変わりはしないと誓い合ったのに君は…)

(語義)
契りきな…誓い合いましたよね
袖をしぼりつつ…涙で濡れた袖をしぼりながら
末の松山…宮城県多賀城市にある景勝地
波越さじとは…波は越さない(=どちらも浮気心は起こさない)と

後拾遺集』から採られた歌で、詞書に「心変はりてはべりける女に、人に代はりて」とあります。「女に心変わりされた男に代わって詠みました」という意味です。

「女心と秋の空」なんて言葉がありますが、女性の方が切り替えが早くて、男性の方がいつまでも想い続けるというのはよくあることですね。

清原元輔(908-990)平安中期の貴族・歌人。村上朝の文壇で活躍し、「梨壺の五人」の一人として村上天皇の勅命による『後撰和歌集』の編纂に参加。清少納言(62番)の父。三十六歌仙の一人。

なぞりがき百人一首 解説ページ「末の松山」

「末の松山」は宮城県多賀市の小高い丘にある景勝地です。2本の松と清原元輔の歌碑が建っています。

末の松山
末の松山 – Wikipedia

この辺りは当時「陸奥国」と呼ばれ、都人にとっては北の果ての地でした。

『古今和歌集』には東歌として次の歌が収録されています。

君をおきて あだし心を わが持たば
末の松山 波も超えなむ

(現代語訳)
君以外の人に浮気心を起こしたら、波が末の松山を越すことでしょう。

この歌以降、浮気心をもつ=末の松山を越す、という表現が定着しました。元輔もこれを踏まえ、心変わりした女性に贈る歌の代詠を頼まれたとき、このような歌を詠んだのです。

当時は近くまで海が迫っていましたが、869年の貞観地震の際の大津波でも、末の松山を波が越すことは無かったそうです。

「光る君へ」での描かれ方

NHK大河ドラマ「光る君へ」では清原元輔を大森博史さんが演じられています。

ききょう(清少納言)の父。歌人。62代・村上天皇の撰和歌所の寄人(よりうど/職員)となり、『万葉集』の読解や『後撰和歌集』を編纂(へんさん)を行った。

「光る君へ」人物紹介 清原 元輔◆大森 博史 – NHK

第6回「二人の才女」で、藤原道隆が催した漢詩の会に親子で参加する様子が描かれていました。

「光る君へ」場面写真 顔合わせするまひろとききょう親子
「光る君へ」公式X-NHK

まひろ(紫式部)とききょう(清少納言)の初顔合わせにSNSが盛り上がっていました。

公任の漢詩の感想を求められるも、道長に漢詩を通して想いを伝えられたまひろは動揺してしまい本領を発揮できなかった様子。対して、ききょうが「私はそうは思いません。むしろ、白楽天の無二の親友だった元微之のような闊達な歌いぶり」と論陣を張ったので、元輔に咳払いで窘められていました。

「光る君へ」場面写真 漢詩の会
「光る君へ」公式X-NHK

清原元輔は当時から歌人として名高く、清少納言は「あの清原元輔の娘」と言われるのがプレッシャーとなり「歌を詠むのが苦手」と『枕草子』に書いています(九九段『五月の御精進のほど』)。

『百人一首』にも選定されていますし、決して苦手ということは無かったと思いますが、父が偉大過ぎたのでしょうね。

79歳の高齢で肥後守に任ぜられ、受領として九州に赴いた元輔は、83歳で任地で亡くなりました。まひろに「高齢の父を一人で行かせたことを後悔しております」と言う場面が印象に残っています。

『百人一首』36番/清原深養父は清原元輔の祖父です。清少納言の曽祖父ということになります。清原氏は下級貴族ながら文人の家系で、『枕草子』を書いた清少納言の才能は、文化の気風に富んだ環境で育まれたのでしょう。

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「光る君へ」の登場人物たちが詠んだ歌

「光る君へ」のおかげで『百人一首』の歌人たちがぐっと身近になりました。「光る君へ」の登場人物たちが詠んだ歌を番組での描かれ方と感想を交えてご紹介しています。

42番/清原元輔
(当記事)

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「光る君へ」公式X-NHK

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使用したなぞり書きの本

なぞりがき百人一首 ユーキャン学び出版(2020/10/23)

本の内容についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
堂鳩でなぞる【なぞりがき百人一首】1番/天智天皇【万年筆のある毎日】

使用したガラスペンとインク

「末の松山」をイメージして「ガラスペンで楽しむインクセット」の「松葉」でなぞりました。

使用した万年筆インク(松葉)とガラスペン

ガラスペンは「COCOUNITYガラスペンセット」のものを使っています。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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