明日香と万葉集が好きなみくるです。
今回は万葉歌人の中でもとりわけ好きな柿本人麻呂ゆかりの「柿本人麻呂歌集」の歌碑をご紹介します。
御食向かふ南淵山の巌には
歌碑は明日香村島庄の「石舞台古墳前休憩所」の横にあります。
トイレと自動販売機が設置されていて、明日香風を感じながら休憩できます。
地図では「公衆トイレ(石舞台売店 横)」と表記されていますが、売店は閉店しました。
御食向かふ 南淵山の 巌には
降りしはだれが 消え残りたる
万葉集巻9-1709 柿本人麻呂歌集
揮毫:辰巳利文(国文学者)
南淵山の山肌には、いつぞや降った薄ら雪が消え残っているのであろうか。
題詞は「獻弓削皇子歌一首」(弓削皇子に献る歌一首)、左注は「右柿本朝臣人麻呂之歌集所出」(右は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づるところなり)です。
柿本人麻呂歌集についてはこちらをご覧ください。
はだれ(斑)は斑雪(はだれゆき)の略で、うっすらと積る状態をいいます。
御食向かうは南渕の枕詞
御食向かふ(みけむかう)は、南渕の枕詞です。
御食(みけ)は、神または天皇に差し上げる食料のことを意味します。
御食と似たような言葉に、御肴(みな)という古語があります。
御肴と南淵の「みな」が掛けられて、南淵の枕詞として「御食向かふ」が使われるようになりました。
南淵山を御神体とする飛鳥川上坐宇須多伎比売命神社
石舞台古墳から少し山手の奥飛鳥の方へ行くと南淵山(みなみぶちやま)を御神体とする「飛鳥川上坐宇須多伎比売命(あすかかわかみにます うすたきひめのみこと)神社」があります。
石舞台展望台
石舞台古墳前休憩所の東隣は、石舞台古墳と明日香村の集落が一望できる展望台になっています。
石舞台展望台からの眺望
見学されている方と比べると、石舞台古墳の大きさがよく分かると思います。
赤そばの花がたくさん咲いていました。
そばの花は白いものとばかり思っていました。
石舞台展望台もお気に入りの場所です。
古墳の周囲が桜に彩られる春は各別美しく、多くの方で賑わいます。
奈良県景観資産
石舞台展望台からの眺めは「石舞台古墳と明日香の集落が眺望できる国営飛鳥歴史公園石舞台地区」として「奈良県景観資産」に選定されています。
石舞台古墳と道路を挟んで反対側の高台からは、石舞台古墳を明日香村の集落や二上山と共に眺めることができます。
奈良県景観資産―石舞台古墳と明日香の集落が眺望できる国営飛鳥歴史公園石舞台地区―/奈良県公式ホームページ (pref.nara.jp)
石舞台は7世紀後半の蘇我馬子の墓といわれています。墳丘の盛土が流出してしまい、石室が露出したため現在の形状となっています。
奈良県景観資産とは
奈良県では平成23年度から平成28年度までに、県内でも特に優れた景観をテーマに一般公募の上審査し、「奈良県景観資産」として登録しました(奈良県景観条例第20条に基づく)。
登録された奈良県景観資産は全体で161点となり、その内容も歴史を感じさせる町並みや大自然の営み、山から見下ろした風景など、多岐にわたります。また、奈良県の39市町村の全てに、奈良県景観資産は存在します。
奈良県景観資産総合案内所/奈良県公式ホームページ (pref.nara.jp)
各景観資産のページには写真や解説の他、「どこから見れば、写真のような景色を見ることができるか」という眺望点も地図で示されているので、その場に行って写真を撮るのも楽しみのひとつとなっています。
石舞台展望台へのアクセス
奈良県高市郡明日香村島庄
近鉄橿原神宮前駅下車 飛鳥駅行バスで石舞台下車 徒歩すぐ
近鉄飛鳥駅下車 橿原神宮駅東口行バスで石舞台下車 徒歩すぐ
お車でお越しの場合は、「国営飛鳥歴史公園石舞台地区駐車場」を利用されると便利です。
無料駐車場は「普通14台 身障者用2台」で小さくすぐに満車になりますが、近隣に有料の駐車場もあります。
シーズン中は大変込み合いますので、ご注意下さい。
万葉集に親しめるおすすめの本
マンガで楽しむ古典 万葉集 ナツメ社(2016/2/12)
4,500首余りあ万葉集から代表的な歌を150首以上取り上げ、マンガで解説した本です。
現代に残る万葉集の風景がフルカラーで紹介されています。
万葉植物の紹介、ゆかりの地など、訪れたくなる情報も豊富で、分かりやすく楽しい本です。
監修の井上さやかさんは、「奈良県万葉文化館 万葉古代研究所の主任研究員」をされています。
最後までお読みいただきありがとうございます。