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【明日香村の万葉歌碑を歩く34】柿本人麻呂歌集「南淵山」の歌碑(石舞台古墳展望台)

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奈良県明日香村にある40基の万葉歌碑を巡っているみくるです。

今回は、『柿本人麻呂歌集』に収められた一首の歌碑をご紹介します。
明日香村観光パンフレット『明日香村の万葉歌碑を歩く』第34番の歌碑です。

万葉歌人の中でも、とりわけ心惹かれる柿本人麻呂。その名を伝える歌集の一首が、石舞台古墳展望台に刻まれています。

石舞台古墳前休憩所横の万葉歌碑拡大
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南淵山はどの峰か――石舞台古墳展望台に立って読む万葉歌

御食向かふ南淵山の巌には

歌碑は明日香村島庄の「石舞台古墳前休憩所」の横にあります。
トイレと自動販売機が設置されていて、明日香風を感じながら休憩できます。

地図では「公衆トイレ(石舞台売店 横)」と表記されていますが、売店は閉店しました。

石舞台古墳前休憩所

(題詞)
弓削皇子に献れる歌一首

(読み下し)
御食向かふ 南淵山の 巌には
降りしはだれか 消え残りたる

万葉集巻9-1709 柿本人麻呂歌集
揮毫:辰巳利文(国文学者)

(かな)
みけむかふ みなふちやまの いはほには
ふりしはだれか きえのこりたる

(現代語訳)
南淵山の山肌には、いつぞや降った薄ら雪が消え残っているのであろうか。

石舞台古墳前休憩所横の万葉歌碑
石舞台古墳前休憩所横の万葉歌碑拡大

明日香の空の下に立ち、この歌を声に出してみると、冬の静けさがそっと広がるようです。

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御食向かうは南渕の枕詞

御食向かふ(みけむかう」は「南淵山」にかかる枕詞です。

「御食(みけ)」は貴人の食事を意味し、食用の蜷(みな)と「南(みな)」を掛けた語と解されます。神に供える食に通じる響きを帯びたことばが、山に神聖な気配を添えています。

南淵山は、現在の明日香川上流域の山と考えられています。ただし、どの峰を指すのかははっきりとは定まっていません。展望台から見渡す山並みの中に、その姿はあるはずなのに、「あれがそうだ」と言い切ることはできないのです。

歌は、岩に薄く降り敷いた雪――「はだれ」が、消えずに残っている情景を詠んでいます。

降りしはだれか 消え残りたる

いったいどの雪が、消えずに残っているのだろう。

問いかけの形で結ばれるこの一首には、冬山の澄んだ空気とともに、消えてゆくものへのやわらかなまなざしが感じられます。すべてがやがて消えていく中で、わずかに残るもの。それを見つめる心の静けさが伝わってきます。

題詞には「弓削皇子に献れる歌一首」とあります。弓削皇子は天武天皇の皇子である弓削皇子とされますが、南淵山との具体的な関係を示す史料は残っていません。現地で詠まれたのか、宮廷で山の景を思い描いて献じられたのか――その場面は分からないままです。

けれども、明日香の風景の中に立つと、この歌が決して遠いものには感じられません。

石舞台古墳のそばから見える山々。
あの連なりのどこかが、万葉の「南淵山」なのかもしれない。

そう思いながら山を眺めると、ただの冬景色が、千三百年前の視線と重なってくるように感じられます。

はっきりとは分からないことを抱えたまま、
それでも確かにここに流れている時間。

この歌は、明日香の静かな山並みに、そっと問いを残しています。

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石舞台展望台からの眺望

石舞台古墳前休憩所の東隣は、石舞台古墳と明日香村の集落が一望できる展望台になっています。

石舞台展望台からの眺望1

見学されている方と比べると、石舞台古墳の大きさがよく分かると思います。

石舞台展望台からの眺望2

赤そばの花がたくさん咲いていました。

石舞台展望台からの眺望赤そば

そばの花は白いものとばかり思っていました。

石舞台展望台からの眺望3

石舞台展望台もお気に入りの場所です。
古墳の周囲が桜に彩られる春は各別美しく、多くの方で賑わいます。

石舞台展望台からの眺望4
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奈良県景観資産

石舞台展望台からの眺めは「石舞台古墳と明日香の集落が眺望できる国営飛鳥歴史公園石舞台地区」として「奈良県景観資産」に選定されています。

石舞台古墳と道路を挟んで反対側の高台からは、石舞台古墳を明日香村の集落や二上山と共に眺めることができます。
石舞台は7世紀後半の蘇我馬子の墓といわれています。墳丘の盛土が流出してしまい、石室が露出したため現在の形状となっています。

奈良県景観資産―石舞台古墳と明日香の集落が眺望できる国営飛鳥歴史公園石舞台地区―/奈良県公式ホームページ (pref.nara.jp)

奈良県景観資産とは

奈良県では平成23年度から平成28年度までに、県内でも特に優れた景観をテーマに一般公募の上審査し、「奈良県景観資産」として登録しました(奈良県景観条例第20条に基づく)。

登録された奈良県景観資産は全体で161点となり、その内容も歴史を感じさせる町並みや大自然の営み、山から見下ろした風景など、多岐にわたります。また、奈良県の39市町村の全てに、奈良県景観資産は存在します。

奈良県景観資産総合案内所/奈良県公式ホームページ (pref.nara.jp)

各景観資産のページには写真や解説の他、「どこから見れば、写真のような景色を見ることができるか」という眺望点も地図で示されているので、その場に行って写真を撮るのも楽しみのひとつとなっています。

石舞台展望台へのアクセス

奈良県高市郡明日香村島庄

近鉄橿原神宮前駅下車 飛鳥駅行バスで石舞台下車  徒歩すぐ
近鉄飛鳥駅下車 橿原神宮駅東口行バスで石舞台下車 徒歩すぐ

お車でお越しの場合は、「国営飛鳥歴史公園石舞台地区駐車場」を利用されると便利です。

無料駐車場は「普通14台 身障者用2台」で小さくすぐに満車になりますが、近隣に有料の駐車場もあります。
シーズン中は大変込み合いますので、ご注意下さい。

国営飛鳥歴史公園石舞台地区駐車場

万葉集に親しめるおすすめの本

マンガで楽しむ古典 万葉集 ナツメ社(2016/2/12)

4,500首余りあ万葉集から代表的な歌を150首以上取り上げ、マンガで解説した本です。
現代に残る万葉集の風景がフルカラーで紹介されています。
万葉植物の紹介、ゆかりの地など、訪れたくなる情報も豊富で、分かりやすく楽しい本です。

監修の井上さやかさんは、「奈良県万葉文化館 万葉古代研究所の主任研究員」をされています。

最後までお読みいただきありがとうございます。



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