2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」を楽しみにしているみくるです。私が住む奈良県には、豊臣秀長にゆかりのある地が数多くあります。
こちらの記事では、奈良県高取町の「土佐街道」に移築された高取城「松ノ門」をご紹介しました。
今回は、日本三大山城と呼ばれる「高取城跡」への登城の様子をご紹介します。高取町の城下町から、大手道を行く王道コースで登りました。
高取山の山上にそびえる「高取城」は、豊臣秀長の重臣・本多利久によって築かれた山城です。

城内の楼閣などは失われましたが、石塁などは昔のままの姿をとどめており、中世から近世までの高取の栄華を今に伝えています。
日本最強の城「高取城跡」
日本三大山城「高取城」
高取城は標高584mの高取山の山頂に築かれた山城です。豊臣秀長の重臣・本多利久によって大和郡山城の詰め城として大修築が行われ、堅牢な城として完成しました。
昭和28年(1953年)に国の史跡、平成18年(2006年)には日本100名城に認定されました。岡山の備中松山城、岐阜の美濃岩村城に並ぶ日本三大山城の一つです。

城下町から本丸まで全国で最も比高がある(446m)ことからや、壮大な規模から「日本最強の城」と呼ばれています。まさしく難攻不落の山城です。

城内周囲は約3km、郭内周囲は約30kmにも及びます。現在は緑に覆われ、石垣を留めるのみの姿ながら、本丸・二の丸跡の立派な石垣からは往時の栄華が感じられます。

高取城郭図
高取城跡へは、大手道(高取城下街側)からと、壷阪山側からとの2度登りました。今回は、大手道からの本丸跡までの登城の様子をご紹介します。

大手道(高取城下街側)より登ってくると、猿石の所で明日香側岡口門からの道と合流し二ノ門へと至ります。ここには山城にはない珍しい「水堀」があります。矢場門手前を右へ行くと国見櫓と呼ばれる、大和平野から京都を一望できる眺望が開けるところがあります。
大手道(高取城下街側)より登城
高取城の城下町を歩く
壷阪寺駅より、町のメインストリート「土佐街道」を通り城下町を散策。全盛期には500軒もの商家や町家が立ち並び、今なお連子格子を持った家や武家屋敷が、当時の雰囲気を伝えています。

「松ノ門」や「武家屋敷」を鑑賞しつつ、高取山へ至る坂道を進みます。

こちらの記事では、「土佐街道」沿いに軒を連ねる古い家並みの中から「武家屋敷(田塩家)」と「植村家長屋門」をご紹介しています。
上子島砂防公園
上子島砂防公園は、高取川の上流の、ちょうど高取城への入口に当るところにある公園です。ハイカーが利用しやすいよう休憩できる広場等を設け、砂防、防災的な機能を果たすとともに水と緑豊かな公園として整備されました。

ハイキングシーズンには、たくさんの方々が、高取城へ上る際の最初の休憩地点として休憩されます。


こちらの記事では、桜咲き乱れる春の上子島砂防公園をご紹介しています。
大手筋へ
ここから山道になります。



黒門跡
いよいよ山登りの始まりです。

このあたりは別所郭と呼ばれ、高取山中に点在する曲輪(防御陣地など)のひとつです。

植村家の菩提寺(初代植村藩主の邸宅跡)である宗泉寺を中心に侍屋敷の平場が連なっており、曲輪の入口には高取城の一の門である黒門がありました。物頭1人と卒20人を配置して警戒にあたっていたといいます。
黒門跡から本丸までは高低差が約350mあります。

ただ登るだけでも息が切れる険しい山道です。築城された400年前に、石垣の石を運び上げるのはどんなに大変だっただろうかと、ただただ驚くばかりです。
七曲り
曲がりくねった坂道で敵が攻めてくると坂道の樹や竹を切って攻撃を防いだと伝えられています。


一升坂
石材などの運搬に役夫は急坂と重荷の苦しさにへたってしまったので、米一升を加給して激励したという言い伝えからこの名が付いています。

岩屋不動
岩屋神社跡で明治維新までは岩屋不動と呼ばれ、往古は大峰参上の一行場と伝わっています。

不動明王・文殊菩薩・役小角の石像があります。

大手筋から道をそれた所にあります。道は岩屋不動で行き止まりです。

猿石
猿石は高取城二の門の外の、城下町へ下る大手筋と明日香村栢森へ下る道筋の分岐点に置かれています。

花崗岩製で高さ85㎝、幅75㎝、厚さ65㎝を測ります。飛鳥時代の斉明期(7世紀)に造られたと考えられています。

飛鳥の「猿石」と同様に、現在の明日香村平田から掘り出され、高取城築城の際に石垣材として運ぶ途中にこの場所に置かれたようです。
猿石がのせられている台石は、古墳の石材の可能性があります。

郭内と城内の境界を示す「結界石」とした説などがありますが、確かなことは分かっていません。運ぶ途中で嫌になって、放り出されたと言われたりもしますが、古墳の石材の上に乗せられているのなら、何かの意図があってここに置かれたのだと思います。

こちらの記事では、明日香檜隈の吉備姫王墓にある猿石をご紹介しています。
高取城の猿石が、最も「猿」らしいと思いました。ここまで登った人だけが見ることのできる貴重なものです。
二の門跡
二の門は、三つある城内への入口のひとつです。

三つの門(二の門・壺坂口門・吉野口門)から城内に進むと、「大手門」の前でひとつになります。

門の前には、山城では珍しい水堀(池)があり、堀の両端を堤にて堰き止めています。二の門へは、この西側の堤の上の架けられた、欄干の付いた橋を渡っていました。この水堀は大阪湾に注ぐ大和川の支流「高取川」の源流です。

ここらから本丸まで高低差が約110mあり、「日本一の山城」にふさわしい他にはない規模の城であったことを物語っています。

国見櫓
城郭の一つ「国見櫓」の築かれていた所です。

城内の北西に張り出した場所にあたり、まさに国見をするのにふさわしい場所です。
こちらは、当時の高取城の様子を、現在の様子や各種書物に基づいて再現した絵図です。二の門や国見櫓などの位置をご確認頂けます。

二の門から内側を城内と呼んでいます。絵図では、黒門~二の門間が短く描かれていますが、実際には結構な距離があります。

眼下には大和三山や青垣の山々が連なり、天候が良ければ、六甲山や大阪市内のビル群・比叡山も見渡せる『まほろば眺望スポット百選』の絶景の場所となっています。

登城の疲れも吹き飛ぶような素晴らしい絶景でした。

ここから本丸まで763m、あと少しです。
松ノ門跡
松ノ門は、城内にあった門のひとつで、切妻造・本瓦葺の建物であったと知られています。

こちらの記事では、奈良県高取町の「土佐街道」に移築された高取城「松ノ門」をご紹介しています。
このような門がここに建っていたのですね。先に移築された松ノ門を見てから来たので、より感慨深いものがありました。

ここから本丸まで380mです。
大手門跡
大手門は「御城門」とも呼ばれ、城内への入口である「二の門」「壺坂口門」「吉野口門」から城内に進むと、この「大手門」の前でひとつになります。大手門が二の丸・本丸への唯一の入口です。

石垣が迫力を増してきて、本丸に近づいていく気配が漂います。


ここから本丸まで289m。
十三間多門跡
十三間多門櫓は、十三間に渡り多門櫓が築かれていたので、この名が付きました。


二の丸跡
二の丸は高取城で一番広く日当たりのよい平場があり、藩主の屋敷や政庁がありました。

本丸跡
本丸はまさに高取城の中心であり、高取山の最高所(標高583.1m)にあります。国の指定史跡です。

本丸跡の一番高台になる天守台跡です。高取山の標高は583.3m、黒門跡から高低差390m。高取城は日本一の比高を誇る日本一の山城です。

天守台の石垣は約12メートルで場内最大の高さです。

2003年に本丸付近が整備され本丸周りを1周することが出来るようになりました。

本丸跡からは、南に吉野の山々が望めます。

高取城建築の南北朝時代、建築にあたった越智氏が、吉野の豪族と畿内への接続拠点として重要視していたのが感じられる光景です。
高取城跡へのアクセス
奈良県高市郡高取町高取
高取城之図
高取城を車で訪れた方が、駐車後、ハイキング道を歩いて本丸を訪れた帰りに、道を誤って城下町方向へ降ってしまう事例が多発しているそうです。
詳しくは高取町観光協会さんのサイトでご確認下さい。

電車・バスでのアクセス
壺阪山駅→(徒歩)→高取城
近鉄吉野線 壺阪山駅を下車して徒歩約2時間で高取城へ至ります。大手道を行く王道コースです。
お城へは猿石・二の門から入城します。
壺阪山駅→(バス)→壺阪寺→高取城
壺阪山駅から壷阪寺までバスで行き、そこから徒歩で高取城へ約1時間の道のりです。
壷阪寺経由の方が登坂はなだらかですが、お城へは八幡口から入城することになります。八幡口から本丸までは、徒歩で約20分です。
車でのアクセス
高取城へ直接
高取城へは県道119号がありますが、お城まで入城することはできません。多くの交通量を捌けるような道ではなく、離合が大変な場所もあるので、お勧めしません。
城下町エリアで駐車→(徒歩)→高取城
城下町エリアには、観光駐車場があり無料で駐車できます。そこから、高取城に徒歩で向かうコースがオススメです。徒歩約90分で高取城猿石・二の門へ至ります。
今回は、高取町第1観光駐車場に車を停めて歩きました。本丸までは、ゆっくり歩いて2時間近くかかりました。
町役場駐車→(徒歩)→壺阪山駅→(交通機関)→高取城
高取町役場も無料で駐車できますので、そこから徒歩5分で壺阪山駅に至ります。こちらから、電車で来た場合と同様に高取城を目指します。
壷阪寺→(徒歩)→高取城
壷阪寺の有料駐車場に駐車後、そこから徒歩で高取城へ約1時間の道のりです。
壷阪寺経由の方が、登坂はなだらかですが、お城へは八幡口から入城することになります。八幡口から本丸までは、徒歩で約20分です。
こちらの記事では、壷阪寺からの登城の様子をご紹介しています。
最後までお読み頂きありがとうございます。