【なぞりがき百人一首】紫式部と共に中宮・彰子に出仕「56番/和泉式部」と光る君へ

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NHK大河ドラマ「光る君へ」を毎週楽しみにしているみくるです。番組内で紹介されるのを見て、和歌により親しみを持つようになりました。

番組に登場する人物が詠んだ歌を『なぞりがき百人一首』よりご紹介してきました。

今回は『和泉式部日記』の作者で、紫式部とともに一条天皇の中宮・彰子に仕えた和泉式部が詠んだ歌をご紹介します。

「光る君へ」では泉里香さんが和泉式部を演じられます。

光る君へ登場人物紹介「和泉式部」
大河ドラマ「光る君へ」 / X (twitter.com)

人物紹介などで今後の展開に触れる可能性がありますので、ご注意下さい。

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あらざらむ この世の外の 思ひ出に

『百人一首』56番の和泉式部の歌は、恋に生きた女流歌人の熱情が溢れる歌です。

百人一首56番/和泉式部

あらざらむ この世の外の 思ひ出に
今ひとたびの 逢ふこともがな

56番/和泉式部

(現代語訳)
もう長くはないようです。あの世への思い出としてもう一度、貴方と一夜を過ごせたらなと思います(死ぬ前にもう一度あなたの腕に抱かれたい)

(語義)
あらざらむ…「ある」は「生きている」。「ざら(打消)」+「む(推量)」で亡くなりそうだ、の意
この世のほか…「この世以外」、あの世の意
今ひとたび…もう一度
逢うこともがな…「~もがな(願望)」で逢えたらなと思う、の意

『後拾遺集』の詞書には、「心地ここち例ならずはべりけるころ、人のもとにつかはしける」とあります。病気で死の床に就いている時に、心残りを歌に託して男のもとに贈ったということです。

和泉式部は、恋多き女性として有名で『和泉式部日記』も、複数の男性との恋愛の経緯を描いたものです。

和泉式部(生没年不詳)平安中期の女流歌人。越前守・大江雅致おおえのまさむねの娘。母とともに冷泉天皇の中宮・昌子内親王に仕えたのち、和泉守・橘道貞と結婚。小式部内侍(60番)ともうけたのち離婚。1008年頃、一条天皇の中宮・彰子の女房として出仕。『和泉式部日記』の作者。

本名、生没年ともに不明。和泉式部の「式部」は、父の雅致が文章生出身の式部丞だったからであるとする説があります。

「死ぬ前にいま一度あなたの腕に抱かれたい」という、ストレートな表現から狂おしいほどの熱情が感じられます。情熱的な女性だったのでしょう。

百人一首56番/和泉式部(解説)

古典まめ知識のコーナーで『和泉式部日記』について解説されています。

『和泉式部日記』

一条天皇の東宮・居貞親王(のちの三条天皇)の同母弟である為尊親王・敦道親王は、いまをときめくピカピカの皇子でした。その両皇子と恋に落ちた和泉式部。歌は藤原公任も認める腕前で、和泉守と結婚したのち、まず為尊親王の恋人となります。しかし為尊親王が25歳で流行り病により急死、すると今度は4歳下の弟宮・敦道親王が和泉式部を熱愛し、通うだけでは飽き足らず、ついには式部を屋敷に住まわせてしまいます。怒ったのは、敦道親王の正妻でした。とうとう家出の末に離婚…。皇子と中流階級の娘の道ならぬロマンスは、宮廷人の耳目を集めたことはもちろん、式部と同じ中流貴族の娘が多かった女房たちには憧れでもありました。恋の顛末を記した『和泉式部日記』は後宮のベストセラーだったのです。

一条天皇の中宮・彰子に仕えるのは敦道親王の死後なので、『和泉式部日記』は彰子の女房時代に書かれたものでしょうか。

「死ぬ前にいま一度あなたの腕に抱かれたい」と歌を贈った相手はだれなのか、想いが叶ったのか気になりますが、どのような晩年を過ごしたのかは分かっていません。

「光る君へ」の登場人物たちが詠んだ歌

「光る君へ」のおかげで『百人一首』の歌人たちがぐっと身近になりました。「光る君へ」の登場人物たちが詠んだ歌を番組での描かれ方と感想を交えてご紹介しています。

42番/清原元輔(清少納言の父)
【なぞりがき百人一首】清少納言にプレッシャーを与える存在「42番/清原元輔」〈光る君へ〉

53番/右大将道綱母(藤原道綱母)
【なぞりがき百人一首】「光る君へ」登場で注目集まる!道綱母の歌~兼家との輝かしい日々

54番/儀同三司母(高階貴子)
「光る君へ」で道隆が最後に口にした妻の歌「54番/儀同三司母」【なぞりがき百人一首】

55番/大納言公任(藤原公任)
【なぞりがき百人一首】「光る君へ」町田啓太さん演じる貴公子ぶりが人気!「55番/大納言公任(藤原公任)

56番/和泉式部
(当記事)

57番/紫式部
大河ドラマ「光る君へ」のタイトルはこの歌から!?【なぞりがき百人一首】57番/紫式部

59番/赤染衛門
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62番/清少納言
【なぞりがき百人一首】「光る君へ」ファーストサマーウイカさんの魅力的な演技で人気!「62番/清少納言」

「光る君へ」場面写真(まひろと賢子)
大河ドラマ「光る君へ」 / X (twitter.com)
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光る君へでの描かれ方

7月28日の本編終了後に流れた次回予告で和泉式部がちらりと映りました。

薄青の着物を着て「あつさぞまさる…」と言っている女性が和泉式部です。

『和泉式部集』のこちらの歌からでしょうか。

声聞けば あつさぞまさる 蝉の羽の
薄き衣は みに着たれども

和泉式部集

(現代語訳)
蝉の声を聞くと暑苦しくてたまらない。蝉はあんなに薄い衣を着ているというのに。

歌と衣装がマッチした美しいシーンになっていそうですね。

和泉式部を演じられるのは泉里香さん。

光る君へ「あかね」(和泉式部)役の泉里香さん
大河ドラマ「光る君へ」 / X (twitter.com)

『和泉式部日記』の作者 あかね/和泉式部(いずみしきぶ)
泉 里香(いずみ・りか)

『和泉式部日記』の作者。まひろ(紫式部)とは、四条宮の和歌を学ぶ会で知り合う。親王二人に愛された、恋多き華やかな女性であり、和歌には突出した才能を持つ。やがて彰子の女房となる。

【「光る君へ」人物紹介】あかね/和泉式部- NHK

8月4日放送の第30回「つながる言の葉」ではまひろ(紫式部)との出会いが描かれます。

夫の死から三年、まひろ(吉高由里子)は四条宮の女房達に和歌を教えながら自作の物語を披露し、都中で話題になっていた。ある日、そこに歌人のあかね(泉里香)がやってくる。自由奔放なあかねに、どこか心ひかれるのだった。その頃、宮中では「枕草子」が流行していた。「枕草子」を読んでは亡き定子(高畑充希)を思う一条天皇(塩野瑛久)。道長(柄本佑)は気をもみ、安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)に相談すると…

(30)つながる言の葉 – 大河ドラマ「光る君へ」 – NHK

「光る君へ」公式Xに泉里香さんのコメントが載っていました。

「光る君へ」泉里香さんからのコメント
大河ドラマ「光る君へ」 / X (twitter.com)

この度、和泉式部を演じさせていただくことになりました。憧れであり、目標のひとつでもあった大河ドラマに出演でき大変うれしく思います。多くの男性を魅了したといわれる和泉式部は恋多き女性のイメージですが、今回の大石先生が描かれる脚本では、当時としては珍しく前衛的な人物像だったのではないかと新しい気づきが得られます。愛らしいだけではない、多彩な魅力を持つ和泉式部を表現できるように精一杯つとめたいと思います。

大河ドラマ「光る君へ」 / X (twitter.com)

和泉式部は『源氏物語』の創作に大きな影響を与えるのでしょう。

二人の出会いの場面がどのように描かれるのか、まひろにどのように影響を与えるのか、次週以降の放送が楽しみです。

なぞり書きに使用したガラスペンとインク

恋に生きた女流歌人の熱情を呉竹さんの「洗朱」のインクでなぞりました。

なぞり書きに使用した万年筆インク(呉竹さんの洗朱)

呉竹(Kuretake) インク インクカフェ 明治のいろ 洗朱

ガラスペンは「COCOUNITYガラスペンセット」のものを使いました。

使用したなぞり書きの本

なぞりがき百人一首 ユーキャン学び出版(2020/10/23)

本の内容についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
堂鳩でなぞる【なぞりがき百人一首】1番/天智天皇【万年筆のある毎日】

最後までお読み頂きありがとうございます。

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