古代史をきちんと学んで、史跡巡りをもっと楽しみたいと思っているみくるです。
今回は、奈良県橿原市の「奈良県立橿原考古学研究所附属博物館」についてご紹介します。
館内は大変広く、無料で利用できる施設もあるので、休憩しつつ長時間楽しめました。全ての展示を詳細に見ることはできなかったので、企画展や特別展が開催される度に行こうと思っています。
奈良県立橿原考古学研究所
奈良県立橿原考古学研究所
奈良県立橿原考古学研究所は、奈良県橿原市畝傍町に設置された県立の埋蔵文化財調査研究機関です。現在まで存続している公的な埋蔵文化財研究機関としては最も古い歴史を持ちます。
主に奈良県内の遺跡発掘調査を手がけ、初期の纒向遺跡をはじめ、ホケノ山古墳、黒塚古墳、藤ノ木古墳、高松塚古墳などの学史に残る著名な古墳や、飛鳥京跡や東大寺、唐招提寺などの発掘で全国に名を知られます。
附属博物館を併設するほか、宇陀市に「室生埋蔵文化財整理収蔵センター」を設置しています。
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
概要
橿原考古学研究所附属博物館では、橿原考古学研究所が1938年の創立以来行って来られた発掘の出土資料を中心に展示が行われています。その展示数は約3700点にも及びます。
博物館の特色は、橿原考古学研究所の調査・研究報告と一体となっていて学芸活動として展示公開を行われていることです。展示は、発掘調査で出土した実物資料が中心で、常設展「大和の考古学」は日本考古学資料をもとに「目で見る日本の歴史」になっています。
常設展のほか春秋2回の特別展、夏には発掘調査成果の速報展「大和を掘る」が開催されます。映像ライブラリー、情報コーナー、休憩室など無料で利用できる施設もあります。
屋外展示
屋外では移築石室や石槨などが展示されています。
束明神古墳 復元石郭
束明神古墳は、奈良県高市郡高取町佐田にある八角墳です。草壁皇子(岡宮天皇、第40代天武天皇皇太子)の真陵に比定する説が知られています。
埋葬施設として構築された横口式石槨が、実物大で復元されています。
切積式の石槨は飛鳥時代の古墳構造の中でも特色あるもので、その構築技術を明らかにするために、同質の凝灰岩により制作されました。
横口式石郭(竜田御坊山3号墳)
竜田御坊山3号墳は、奈良県生駒郡斑鳩町龍田北にあった円墳。竜田御坊山古墳群を構成した古墳の1つです。
竜田御坊山古墳群を形成したは、1965年(昭和40年)に宅地造成工事中に発見され、発掘調査のうえで3基とも消滅しています。
築造時期は古墳時代終末期の7世紀中葉頃と推定されます。被葬者は明らかでありませんが、厩戸皇子(聖徳太子)子孫の上宮王家の一員とする説が挙げられます。
横口式石郭(蓋石・底石)と、出土品は国の重要文化財に指定されています。
内部に漆塗陶棺が存在し、棺内からは、青年男性の遺体と琥珀の枕、三彩円面硯、ガラス管状品などが出土しました。出土品は館内に展示されています。
閉塞石も展示されていました。
エントランスホール
飛鳥京跡苑池から出土した石造物
飛鳥京跡苑池は、奈良県高市郡明日香村の飛鳥京跡の北西に隣接した庭園遺構です。外国使節などを歓迎する饗宴の場として利用されたとみられています。1999年の発掘調査で確認されました。
流水施設
高さ165㎝、最大幅125㎝、重さ2.5t。石英閃緑岩製。
石材を裾広がりに成形し、頭部にには横方向の穴を貫通させています。南池に立てられており、1916年に出土した別の2点とこの石造物が並んで水を流す仕組みになっていました。
石槽
長径270㎝、短径206㎝、厚さ55㎝、重さ約3.6t。石英閃緑岩製。容量約350リットル。
底面の隅に径4㎝の水抜き孔があけられています。流水施設とは別系統で水を送って溜めたものと思われます。
展示ホール
映像ライブラリー
関心のある説明ビデオを検索して視聴できます。無料。
奈良盆地周辺遺跡分布模型
旧石器時代から奈良時代の遺跡が奈良盆地にどのように分布しているのかを、巨大模型で確認できます。
奈良盆地の至る所に遺跡が分布しているのが分かりました。
中庭(無料ゾーン)
中庭は飲食可能です。
ホケノ山古墳の家形石郭
ホケノ山古墳は、奈良県桜井市箸中にある纒向型前方後円墳です。国の史跡に指定され(史跡「纒向古墳群」のうち)、出土品は国の重要文化財に指定されています。
主体部西側の横穴式石室の玄室にあった家形石棺が展示されています。
ホケノ山古墳についてはこちらの記事でご紹介しています。
情報コーナー
情報コーナーでは、図書資料の閲覧、情報検索システムの利用ができます。無料。
ミュージアムショップ
入館記念グッズ、考古学資料関連グッズ、図版等が販売されています。
特別展示室
特別展示室では、春秋2回の特別展、発掘調査速報展「大和を掘る」などの特別陳列、企画展が開催されています。
令和6年度春季特別展 終了
令和6年度春季特別展は「家形埴輪の世界」でした。会期:4月20日(土)~6月16日(日)
家形埴輪は、埴輪が古墳上に配置された全期間にわたって存続したと考えられる数少ない種類の一つです。ただし、構造が複雑で大型品も多いため、その実態がよく分からず、展示で取り上げられる機会が少ない埴輪でもあります。このたびの展覧会では古墳時代の政治的な中枢が存在した奈良県内の資料を中心に、東日本と西日本で最大の製品も展示して、謎の多い家形埴輪の実態に迫ってみたいと思います。
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
令和6年度 企画展 終了
令和6年度 重要文化財指定記念 特別陳列「ホケノ山古墳―ヤマト王権の成立へ」が開催されていました。会期:2024.6.29(土)~2024.7.15(月)
ホケノ山古墳は、いわゆる邪馬台国の時代やヤマト王権の始まりをさぐる貴重な資料として、これまで大いに考古ファンの注目を集めてきました。そして本年、その歴史的価値から、ホケノ山古墳より出土した遺物が国の重要文化財に指定されます。本展覧会ではこのことを記念して、ヤマト王権の中心地であった纒向遺跡より出土した品々とともに、ホケノ山古墳出土遺物を一挙に公開します。
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
こちらの記事で「ホケノ山古墳―大和王権の成立へ―」の模様をご紹介しています。
2023年度発掘調査速報展「大和を掘る」終了
「2023年度発掘調査速報展 大和を掘る39」が、会期:2024.7.27(土)~2024.9.16(月)で開催されていました。
速報展『大和を掘る』は、おもに前年度の県内遺跡の発掘調査資料の展覧会として、県内市町村、研究所、寺社など各機関のご協力を得て例年開催しています。 39回目となる今回は、昨年度に発掘調査された遺跡を中心に31遺跡を選び、出土遺物・調査写真パネルを展示いたします。奈良県における最新の発掘調査の成果を多くの方々にご覧いただき、豊富な文化財を確認するとともに、奈良県の魅力を知っていただきたいと思います。
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
こちらの記事で「2023年度発掘調査速報展 大和を掘る39」の展示内容をご紹介しています。
令和6年度秋季特別展 次回予告
令和6年度秋季特別展は「甲冑ー古墳時代の武威と技術ー」です。会期:2024年10月5日(土)~12月1日(日)
国家形成期にあたる古墳時代には、ヤマト王権により列島各地の政治的な統合が進められます。『宋書』倭国伝に記された倭王武の上表文は、統合に軍事が重要な役割を果たしたことを示します。こうしたなか、鉄製の武器・武具は飛躍的な発展を遂げていきます。特に、複雑な立体構造をもつ甲冑の製作には高度な技術と大量の素材が必要なため、ヤマト王権の下、一元的に生産されたと考えられてきました。同時に、甲冑は威信財的な側面をも有しています。本展覧会では、古墳時代の甲冑について、大和の出土品と各地の良好な出土例を多数展示し、その変遷を通観するとともにこれを巡る様々な問題に迫ります。
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
常設展「大和の考古学」
橿原考古学研究所が、1938年以来行われてきた発掘調査で出土した実物資料が、時代別に展示されています。日本考古学の基準資料をもとに「目で見る日本の歴史」になっています。
※ここでは写真のみにし、詳しくは別の記事でご紹介することにします。
第1展示室 旧石器・縄文・弥生時代
ホケノ山古墳の石囲い木槨の復元模型
第1展示室と第2展示室の間に、ホケノ山古墳の中心埋葬施設「石囲い木槨」の復元模型が展示されていました。
「ホケノ山古墳―大和王権の成立へ―」で見て興奮したものです。こちらでいつでも見学できるようでした。
➡石囲い木槨と画紋帯神獣鏡に興奮!【重要文化財指定記念 ホケノ山古墳】橿原考古学研究所附属博物館
第2展示室 古墳時代
第3展示室 飛鳥・奈良時代~平安~室町時代
橿原考古学研究所附属博物館の利用案内
アクセス
奈良県橿原市畝傍町50-2
無料駐車場あり(約40台)
利用案内
- 開館時間 9時~17時(入館は16時30分まで)
- 休館日 月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)、年末年始、そのほかに臨時休館日あり
- 観覧料 一般400円、高校・大学生300円、小・中学生200円
詳しくは橿原考古学研究所付属博物館の公式サイトをご覧ください。
最後までお読み頂きありがとうございます。