生まれも育ちも奈良県で、古代史が好きなみくるです。
奈良県桜井市に鎮座する「等彌神社(とみじんじゃ)」は、鳥見山を御神体とする古代以来の自然信仰が息づく神社です。
11月になると境内は紅や橙に染まり、特に下旬はしっとりとした“山の秋”が境内全体を包み込みます。
今年の献灯祭は終了間近ですが、来年も開催される行事なので、参考になるように概要を記しておきますね。
今回の記事では、私が撮影した秋の等彌神社の紅葉を中心に、その魅力をたっぷりと紹介します。

※2025年11月16日に参拝した折には、紅葉の見頃までもう少しでしたので、2021年11月28日に撮影した写真を中心に構成しています。
“国のはじまり”の聖地・等彌神社で出会う秋の彩りと献灯祭
等彌神社とは
「等彌神社(とみじんじゃ)」は、初代・神武天皇が橿原宮へ向かう際に祭祀を行った地 とされる「鳥見山(とりみやま・とみやま)」のふもとに鎮座します。
初代・神武天皇が即位後に、初めて皇祖神を祀った場所とされ、古代から「国のはじまりの聖地」として尊ばれてきました。

創建年代は不詳ですが、平安時代の法令集『延喜式(えんぎしき)』の神名帳に記載されている「式内社(しきないしゃ)」であり、非常に古い歴史を持つ神社です。

境内に祀られる「上津尾社(かみつおしゃ)」の御祭神は天照大御神(アマテラスオオミカミ)。
この地が“日の神を祀る重要な場”として古代から尊ばれてきたことをうかがわせます。

秋の風が吹くこの季節は、木々が色づき、鳥見山信仰の荘厳さがより一層引き立つ時期。
紅葉を眺めながら歩いていると、古代の人々がこの山に抱いた信仰の心が、少しだけ近くに感じられるました。

鳥見山のふもとを染める等彌神社の紅葉
錦秋のハイライト:桃神池に映る「逆さ紅葉」
等彌神社の紅葉の主役は、何と言っても「桃神池(とうかみいけ)」です。

池のほとりに植えられたモミジが、水面が鏡となって映り込む様子は圧巻の一言。

まるで水中に炎が燃えているかのような、幻想的な美しさです。風のない朝や夕方に訪れると、その完璧な「逆さ紅葉」に出会える確率が上がります。
古社を彩る参道と境内:紅葉と歴史のコントラスト
池の周りだけでなく、参道や社殿の周りも色鮮やかに染まります。



歴史ある神社の厳かな雰囲気と、モミジの鮮やかな色が作り出すコントラストは、この場所ならではの魅力です。

特に、古びた木造の社殿を背景にモミジを捉える構図は、写真好きにはたまりません。

上津尾社の拝殿脇にある「大孝」記念碑も、美しく彩られていて錦絵のようでした。

鳥見山への登拝口となる鳥見山稲荷社の赤い鳥居と、紅葉とのコントラスも見事でした。

期間限定の神秘:夜を彩る光の饗宴(ライトアップ)
等彌神社「献灯祭 & 紅葉ライトアップ」
今年(2025年)は11月20日で終了となりますが、来年に訪れる方のために概要をまとめておきます。

献灯祭では、参道から拝殿にかけて 350基以上の灯籠が並び、夕闇に浮かぶ灯りが境内を優しく照らします。
紅葉の時期とちょうど重なるため、朱や黄金に色づく木々がライトアップでいっそう幻想的に。
灯籠には願いを書いて奉納することができ、地元の方にも人気が高い行事です。
自然信仰の神社らしい、派手さを抑えた静かで温かな夜が広がります。
来年も開催予定
例年、見頃の時期に合わせて開催されます。具体的な日程は、桜井市観光協会さんの公式サイトなどで、公式情報を確認してください。
昼間とは一変し、闇夜に浮かび上がる紅葉は、より一層幻想的で幽玄な雰囲気を醸し出します。
#紅葉#ライトアップ#奈良 pic.twitter.com/iP6MD5K2KU
— 等彌神社 (@tomizinnja1176) November 20, 2025
光に照らされた逆さ紅葉は、昼とは異なる魔法のような美しさ。時間を忘れて見入ってしまう、特別な体験となることでしょう。
まとめ:歴史の深みと秋の美しさを堪能する旅を
等彌神社は、鳥見山を御神体とする古代の自然信仰の気配が色濃く残る場所。
紅葉の季節はその魅力がいっそう際立ち、境内の静けさと色づいた木々が心を落ち着かせてくれます。
献灯祭は今年は終了間近ですが、紅葉はまだしばらく楽しめる時期なので、ぜひ秋の等彌神社を訪れて、鳥見山に抱かれるようなひとときを味わってみてください。
等彌神社の詳しい歴史や神武天皇との関係については、こちらの記事をご覧ください。アクセス方法や、駐車場の情報も載せています。
最後までお読み頂きありがとうございます。

