私が住む奈良県橿原市は、神倭伊波礼毘古命が初代神武天皇に即位された地です。
今回は、神武天皇にゆかりの深い「竈山神社」に参拝した際にお詣りした境外摂社の「静火神社」をご紹介します。
竈山神社の境外摂社【静火神社】
境内の様子
静火神社は和歌山県和歌山市和田に鎮座する式内社です。『延喜式』神名帳には名神大社に列せられ、古くは有力な神社だったようです。現在は竈山神社の境外摂社になっています。
御由緒は明らかではありませんが、伊達神社(和歌山市園部)、志磨神社(和歌山市中之島)と共に古くから「紀三所社」と称して祀られてきました。
静火大神をお祀りします。
竈山神社の社家の鵜飼氏の文書では、御祭神は「火結神」とされています。
カグツチは、記紀神話における火の神です。
神産みにおいてイザナギとイザナミとの間に生まれた神です。火の神であったために、出産時にイザナミの陰部に火傷ができ、これがもとでイザナミが亡くなったので、怒ったイザナギに十拳剣で首を落とされ亡くなりました。
しかしながら、御祭神については別説もあり明らかではありません。
別説として、『続風土記』では「紀三所社」が伊太祁曽三神(五十猛命・大屋都比売命・都麻都比売命)を分祀するとし、静火神社祭神を都麻都比売命に推定する。一方、「木の国」である紀伊国の「鎮火の神」であったとする説もある。また『住吉大社神代記』では、住吉大社摂社の船玉神社が紀氏の神であり「志麻神・静火神・伊達神」の本社であるとしている。
静火神社 – Wikipedia
社殿より参道と鳥居を振り返ります。緑に包まれた静かな境内でした。
静火神社が鎮座する天霧山は、標高24mほどの小さな丘で薬師山とも呼ばれています。
竈山神社の社務所で案内図を頂きました。
静火神社の旧社跡
今回は行きそびれたのですが、「静火神社の旧社跡」には「靜火社舊地」と刻まれた石碑が建立されており、現在の社殿が建つ天霧山がよく見えるそうです。ご参拝の折にはぜひ旧社跡にもお回り下さい。
『延喜式』神名帳では竈山神社に比して上位である「明神大社」に列せられているので、立派な神社であったと思われますが、享保8年(1723年)頃までには廃絶したようです。享保9年(1724年)に紀州藩の命によって、従来とは場所を変えて天霧山の山上に社殿を建てて再興され、竈山神社が管理したといいます。場所が移された理由は分かっていません。
こちらの記事で竈山神社についてご紹介しています。
➡神武天皇の長兄「彦五瀬命」をお祀りする【竈山神社】にて神武東征に想いを馳せる
静火神社へのアクセス
和歌山県和歌山市和田
駐車場はありません。竈山神社で頂いた案内図に「車は竈山神社の駐車場に停めて、徒歩でお参り下さい」とありました。竈山神社より片道約650mです。
徒歩で10分ほどの距離なのですが、天霧山の東麓より伸びる参道はかなりの急勾配なので、それ以上に時間がかかりました。
竹藪の中の道を息を切らしながら登り、山上へと進みます。
竈山神社からは社務所脇の参道から橋を渡り、歩道に出て北にお進み下さい。
途中左手に竈山神社の御祭神の彦五瀬命をお祀りする「竈山の御陵」があります。
今回ご紹介した静火神社でも『日本書紀』と『古事記』について学ぶ機会を頂きました。またの機会に静火神社と共に古くから祀られてきた「紀三所社」の他の2社(伊達神社、志磨神社)にも参拝したいです。
最後までお読み頂きありがとうございます。