古代史に触れながら山の辺の道ウォーキングを楽しんでいるみくるです。
日本最古の道として知られる「山の辺の道」。 桜井から天理へ向かう南コースは有名ですが、実は天理から奈良へと続く「北コース」にこそ、歩いた人だけが知る静かな感動が詰まっているのをご存知でしょうか?

石上神宮の神聖な空気から始まり、万葉の伝説が残る川、竹林にひっそりと眠る巨大な古墳、そして格式高い門跡寺院まで……。
今回は、天理市観光協会さんのガイドマップを片手に歩いた記録をもとに、石上神宮から円照寺までの見どころをぎゅっと凝縮してご紹介します。
道中には、メインルートから少し外れた「知る人ぞ知る古墳」や、バスを賢く使って訪れたい「清酒発祥の聖地」など、魅力的な寄り道スポットもたくさん。
そこで、あなたの体力や興味に合わせて選べる「3つのウォーキングプラン」をご用意しました。
- 最短で主要スポットを巡りたい方
- 古代の息吹を感じる古墳を深掘りしたい方
- バスを活用して名刹まで欲張りに楽しみたい方
「次はどこへ行こう?」と迷っているあなたへ。 静かな古道に身を置いて、時空を超えた歴史散歩に出かけてみませんか?
選べる3つのプランで巡る、山の辺の道(北コース)
山の辺の道「北コース」とは?
『古事記』や『日本書紀』にも登場し、「日本最古の道」として愛される「山の辺の道」。 三輪山の麓から奈良へと続くこの道は、天理駅を境に「南コース」と「北コース」の二つに大きく分かれます。

静寂と歴史に浸る「北コース」の魅力
多くの観光客で賑わう「南コース」(桜井〜天理)に対し、今回ご紹介する「北コース」は、より素朴で静かな風景が残るエリアです。 のどかな里山、竹林に眠る古墳、そして歴史ある名刹……。派手な観光地化がされていない分、古の旅人が歩いた当時の空気をより濃く感じることができます。

「一般的なゴール」と「今回のゴール」について
「山の辺の道」北コースを歩く際、目的地の設定にはいくつかパターンがあります。
- 一般的なゴール(天理駅から奈良駅まで走破): ガイドブックなどでは、近鉄・JR天理駅から奈良駅(または白毫寺方面)まで、約16kmを歩き切るコースが一般的です。しかし、これだと丸一日がかりのかなりハードな行程になります。
- 今回の記事のゴール(円照寺・山村町): そこで、みくるの森がおすすめしたいのが、石上神宮から円照寺(山村町)までの約11kmを歩くプランです。
なぜ「円照寺」がゴールなの?
「最後まで歩き切りたいけれど、足への負担も気になる……」そんなハイカーの心理に寄り添ったのがこの区間です。 円照寺は、北コースの山道区間がひと段落し、奈良市街の平地へと入る絶好の区切りポイント。何より、すぐ近くのバス停から奈良駅へ楽々アクセスできるため、達成感を味わいつつ、無理なく旅を締めくくることができるんです。
体力や興味に合わせて選べる「3つのウォーキングプラン」
まずは、今日のあなたにぴったりのプランを選んでみましょう!
- 【プランA】最短・快適コース:主要なお寺を巡り、歴史の空気感をバランスよく楽しむ王道ルート。
- 【プランB】歴史深掘りコース:メインルートから少し寄り道。竹林に眠る巨大古墳の迫力に触れる冒険ルート。
- 【プランC】欲張り・名刹満喫コース:歩いた後はバスを賢く利用。清酒発祥の地・正暦寺まで足を伸ばす贅沢ルート。
【出発】石上神宮から伝説の「布留の高橋」へ:物語の始まり
旅の始まりは、天理市にある日本最古の神社の一つ、「石上神宮(いそのかみじんぐう)」から。

一歩鳥居をくぐると、そこは別世界。早朝の境内には、神様のお使いとされる鶏たちの澄んだ鳴き声が響き渡ります。この清冽な空気の中で旅の安全を祈願することから、北コースの歩みがスタートします。
石上神宮を後にして、のどかな景色の中を少し歩くと見えてくるのが、朱色の欄干が印象的な「布留の高橋(ふるのたかはし)」。 ここは、万葉集にも詠まれ、『日本書紀』の悲恋物語「影姫伝説」の舞台となった場所です。
橋のたもとに佇むと、かつての豪族・物部氏(もののべし)が駆け抜けた古代の情景が浮かんでくるようです。

すぐそばにある豊日神社は、その物部氏の影を感じさせる静かな場所。階段を上り、深い歴史の層に触れた後は、いよいよ本格的な古道歩きの登り坂、豊田山城跡へと道は続いていきます。
【プランA】最短・快適コース:水辺の癒やしと知恵を授かる名刹巡り
「今日は無理せず、北コースの主要なスポットをバランスよく歩きたい」という方におすすめのプランです。伝説の地から、開放感あふれるダム、そして静かな山寺へと、景色が次々に移り変わる楽しさがあります。
白川ダム:水辺でひと呼吸、心洗われる休憩スポット
石上神宮エリアを過ぎ、住宅街や田園風景を抜けると、パッと視界が開けて「白川ダム」が現れます。

山の辺の道の中でも、これほど広々とした水辺の景色を楽しめる場所は貴重です。

堤防沿いのベンチは、お弁当を食べたり、心地よい風に吹かれながら休憩したりするのに最高の場所。ここで一度足を休めて、後半の山寺への登りに備えましょう。
弘仁寺:高樋の「虚空蔵さん」で知恵を授かる
白川ダムから坂道を一歩ずつ登った先にあるのが、「弘仁寺(こうにんじ)」です。

地元では「高樋(たかひ)の虚空蔵さん」として親しまれている、平安時代初期からの歴史を持つ古刹です。境内は驚くほど静かで、聞こえてくるのは風に揺れる葉の音だけ。 ここは「知恵の仏様」が祀られている場所。静かに手を合わせれば、日々の喧騒を忘れて心がすっと軽くなるのを感じるはずです。
円照寺(山村御殿):静寂に包まれた旅のフィナーレ
今回のウォーキングの最終目的地は、大和三門跡の一つである「円照寺(えんしょうじ)」です。 気品漂う参道を歩き、旅の締めくくりにふさわしい静謐な空気を味わいましょう。
ここからは、バスで奈良駅へ戻ることもできますが、「最後は電車で帰りたい」という方におすすめなのが、帯解駅を目指すルートです。
帯解寺:皇室ゆかりの安産祈願の名刹
円照寺から下り坂を歩いていくと、安産祈願で名高い「帯解寺(おびとけでら)」に到着します。

皇室ともゆかりの深いこのお寺は、古道の旅の最後に立ち寄るのにぴったりの格式高い場所です。
無事に歩ききった感謝を伝えてから、さらに少し歩けば、JR桜井線の「帯解駅」が見えてきます。
【プランBの主役】古墳探訪:竹林に眠る巨大な石室を訪ねて
プランBを選んだ方にぜひ挑戦してほしいのが、メインルートの標識から少し横道にそれて進む「古墳巡り」です。このあたりは、古代の有力豪族・物部氏ゆかりの地。有名観光地のように整備されすぎていないからこそ、当時のままの圧倒的な迫力を肌で感じることができます。
石上大塚古墳:竹林に眠る巨大石室
山の辺の道のルートから少し登り、生い茂る竹林の中へと進んだ先にひっそりと眠るのが、「石上大塚古墳(いそのかみおおつかこふん)」です。

ロープを頼りに墳丘を登ると、巨大な石が整然と積み上げられた横穴式石室が現れます。側壁の上部と天井石が失われているため、明るい場所で石積みを観察できます。
ウワナリ塚古墳:ぶどう畑に眠るもう一つの巨大首長墓
石上大塚古墳と合わせて訪れたいのが、「ウワナリ塚古墳」です。ここは奈良県内でも最大級の横穴式石室を持つことで知られています。

「こんな山の中に、どうやってこれほどの巨石を運んだのだろう」……。そんな古代の謎に思いを馳せながら、ひんやりとした石の感触を間近で感じられるのは、北コースを歩くハイカーだけの特権です。
【ゴール】円照寺(山村御殿):気品に包まれた旅の終着点
今回のウォーキングの最終目的地は、「円照寺(えんしょうじ)」です。 ここは斑鳩の中宮寺、佐保の法華寺と並び、大和三門跡(だいわさんもんぜき)の一つに数えられる格式高い寺院。皇族ゆかりの場所であることから、地元では「山村御殿(やまむらごてん)」の名で親しまれています。
三門跡寺院の中でも、特に円照寺はひっそりと静かな佇まいが魅力。茅葺きの重厚な門へと続く緩やかな坂道の参道は、手入れが実に行き届いており、歩いているだけで背筋がすっと伸びるような気品を感じます。
残念ながら建物内部は通常非公開ですが、周囲を包む凛とした空気感は、約11kmを歩ききった心と体に優しく染み渡ります。ここで静かに自分自身と向き合う時間は、まさに北コースのフィナーレにふさわしいひとときです。
【プランC】もっと深く。バスで訪ねる「清酒発祥の地・正暦寺」
「円照寺まで歩いたけれど、まだ時間もあるし、もう少し歴史に浸りたい!」 そんな欲張りなプランCを選んだあなたに、とっておきの寄り道をご提案します。それが、山深き古刹「正暦寺(しょうりゃくじ)」です。
正暦寺は、実は私たちが愛する「清酒(日本酒)」が初めて造られた発祥の地。 山の辺の道のルートからは少し離れており、歩いて行くにはかなりの急坂がありますが、無理をする必要はありません。
最後に:歩き終えたあなたへ
天理から奈良へ。伝説の地から始まり、竹林の古墳を抜け、格式高い門跡寺院へと続く「山の辺の道」北コース。
自分に合ったプランで歩けば、今まで知らなかった奈良の深い魅力がきっと見つかるはずです。歩き終えた後は、円照寺近くのバス停から奈良駅へ戻り、美味しい奈良グルメを楽しむのもいいですね。
今回のゴール、円照寺のすぐ近くにある「円照寺」バス停からは、JR奈良駅や近鉄奈良駅行きのバスが出ています。1時間に1〜2本程度と本数が限られているので、円照寺が見えてきたら一度チェックしておくと、待ち時間を気にせずスムーズに帰路につけますよ。
あなたの旅が、素晴らしい発見に満ちたものになりますように!
最後までお読み頂きありがとうございます。









