
色々な色鉛筆を使っては、色合いや塗り心地の違いを楽しんでいるみくです。
ゴールドファーバーを使っていて、ふと「この色の並び、ポリクロモスとは少し違うな」と感じたことはありませんか。
同じファーバーカステルの色鉛筆でありながら、収録されている色の方向性を見ていくと、両者にははっきりとした個性の違いがあることに気付きます。
紫色、茶色、グレー系の色は、主役として使うこともあれば、陰影や雰囲気づくりに欠かせない脇役として使われることも多い色です。
そのため、どの色が、どの程度の段階で用意されているかには、色鉛筆シリーズごとの考え方や想定されている使い方が、はっきりと表れます。
この記事では、ポリクロモス60色セットとゴールドファーバー48色セットを、同じ色番号・色名を手がかりにしながら比較し、グレー系、紫系、茶色系の違いから、両シリーズの性格や位置づけについて考えていきます。
ポリクロモスとゴールドファーバーのどちらを選ぶか迷っている方にとって、色そのものの違いが判断の手助けになれば嬉しいです。
色名で読み解くファーバーカステル色鉛筆③グレー・紫・茶色系の違いを比較
比較表について|公式パンフレットをもとに整理
今回使用した比較表は、ファーバーカステルの色鉛筆に同封されている公式パンフレットをもとに作成しました。
ポリクロモスとゴールドファーバーは、色番号が共通して使われているため、どの色がどのセットに含まれているかを客観的に比べることができます。
また、実際に色を塗り、見た目の印象もあわせて確認しています。

グレー系の違い|段階の細かさが示す用途の差
ポリクロモスのグレー構成
ポリクロモス60色セットには、
- ウォームグレイ:2・4・5
- コールドグレイ:2・4
と、明度の異なるグレーが複数段階用意されています。
これは、
- 重ね塗りで微妙な陰影を作りたい
- 暖かみのある影、冷たい影を描き分けたい
といった、調整しながら描き込む用途を強く意識した構成だと感じます。

ゴールドファーバーのグレー構成
一方、ゴールドファーバー48色セットに含まれるのは、
- ウォームグレイ4
- コールドグレイ4
の2色のみです。
段階は少ないものの、
- 明るすぎず
- 暗すぎず
とても使いやすい中間グレーで、学習用・趣味用として直感的に使える選択だと言えそうです。
紫系の違い|色名と色構成に表れる考え方
ポリクロモスの紫系
ポリクロモス60色セットに含まれる紫系の色は、
- マゼンタ
- ピンクマダーレーキ
- ミドルパープルピンク
- パープルバイオレット
- モーブ
- デルフトブルー
など、赤寄り・青寄りの幅を段階的にカバーする構成になっています。色名もやや専門的で、混色や重ね塗りを前提とした配色だと感じます。

ゴールドファーバーの紫系
ゴールドファーバー48色セットには、
- フクシャ
- マゼンタ
- ライトマゼンタ
- ミドルパープルピンク
- クリムゾン
- パープルバイオレット
- ブルーバイオレット
と、色数が多く、最初から分かりやすい発色の紫・赤紫が揃っています。
中でも「フクシャ」は、日本ではあまり馴染みのない色名ですが、ヨーロッパでは花の名前として広く知られており、色をイメージしやすい基本語彙のひとつです。
この点からも、ゴールドファーバーが「学習用」として設計されていることがうかがえます。
茶色系の違い|ヨーロッパ美術の伝統が色名に表れる
ポリクロモスの茶色系
ポリクロモス60色セットには、
- ベネチアンレッド
- サンギーヌ
- ネイプルイエロー
- ダークネイプルオークル
- ロウアンバー
- ウォールナットブラウン
など、絵画史に基づく顔料名が多く並びます。
これらは、土、鉱物、焼成に由来する伝統的な色で、人物画や素描、陰影表現に欠かせない色です。細かなニュアンスを描き分けたい人向けの構成だと感じます。

ゴールドファーバーの茶色系
一方、ゴールドファーバーに含まれる茶色系は、
- インディアンレッド
- バーントオークル
- ライトイエローオークル
- ヴァンダークブラウン
- バーントシェンナ
と、代表的で分かりやすい色名に絞られています。
少ない色数でも、
- 明るい茶
- 赤みのある茶
- 暗い茶
をカバーできるため、学習用・趣味用として扱いやすい構成になっています。
コラム|金・銀は「楽しさ」、銅は「表現」を広げる色
ポリクロモス60色セットには、金色・銀色は含まれていませんが、120色セットになると、金・銀・銅の3色が加わります。
一方、ゴールドファーバー48色セットには、はじめから金色・銀色が含まれています。
この違いは、シリーズの想定している使い方の違いを、分かりやすく示しています。
金色・銀色は、塗った瞬間に「特別感」が出やすく、塗る楽しさを実感しやすい色です。
そのため、学習用・趣味用としての色鉛筆では、早い段階からセットに含まれることが多いように感じます。
一方で、ポリクロモスでは、60色セットの段階では金属色をあえて入れず、必要になった人が、より多色のセットで選び取る形になっています。
なお、120色セットに含まれる「銅」は、金や銀ほど強い輝きがなく、古い鐘や金属、経年変化した装飾品など、塗り絵によく登場するモチーフに使いやすい色です。
きらびやかさを足す色というより、質感や時間の経過を表現できる色として、銅は実用性の高い一本だと感じます。
ポリクロモスとの違いがよりはっきりする
紫・茶・グレー系を比べてみると、両シリーズの役割の違いが、よりはっきりと見えてきます。
ポリクロモス
- 段階差が細かい
- 色名が専門的
- 重ね塗り・混色向き
ゴールドファーバー
- 色の役割が分かりやすい
- 単色でも使いやすい
- 学習用・趣味用として選びやすい
どちらが優れている、という話ではなく、描き方や目的に合った選択ができるかどうかが大切だと感じます。
まとめ|色構成を見ると、選ぶ理由が見えてくる
入っている色から見えてくるポリクロモスとゴールドファーバー
同じ色番号・色名で比べてみると、ポリクロモスとゴールドファーバーは、紫・茶・グレー系においても、はっきりと異なる個性を持っていることが分かります。
ポリクロモスは、表現を追求したい人のための色構成。
ゴールドファーバーは、学習用・趣味用として、扱いやすさを重視した色構成。
色鉛筆選びで迷ったときは、「どんな色が、どんな意図で入っているか」に注目してみると、自分に合ったシリーズが見えてきます。
使われることを想定して設計されているのかが、暖色系・寒色系の両面から、より立体的に見えてくると思います。
比較表PDFを使ってみる|色の違いを自分の手で
今回使用した比較表を、PDFファイルとして掲載しました。

気になる方は、
- 実際に色を塗ってみる
- 手持ちの色鉛筆でチェックしてみる
など、自分の使い方に合うかどうかを確かめる資料として活用してみてください。
学習用・趣味用の色鉛筆は、「見て分かる」だけでなく、「塗って分かる」ことも大切です。
あわせて読みたい|色名で読み解くファーバーカステル色鉛筆
黄色・赤系を扱った①の記事では、暖色系の色構成から見える両シリーズの違いについても整理しています。
あわせて読むことで、ポリクロモスとゴールドファーバーの考え方の違いが、より立体的に見えてくると思います。
青色・緑系を扱った②の記事では、空や水、草木といった身近なモチーフに使われる色を中心に、同じ色番号でも発色や使い心地に違いがあること、そしてゴールドファーバーにのみ含まれる色から、「学習用・趣味用」としての位置づけが色構成に表れている点を整理しています。
あわせて読むことで、ポリクロモスとゴールドファーバーがどんな場面で使われることを想定して設計されているのかが、暖色系・寒色系の両面から、より立体的に見えてくると思います。
総まとめ|大人の塗り絵という視点で見ると
①(黄色・赤系)、②(青色・緑系)、③(紫・茶・グレー系)と、色域ごとにポリクロモスとゴールドファーバーを見比べてきました。
①の記事では、
暖色系の色構成から、重ね塗りや微妙なニュアンス表現を重視するポリクロモスの特徴を整理しました。
②の記事では、
空や水、草木といった身近なモチーフに使われる色を通して、ゴールドファーバーが「学習用・趣味用」として使いやすい構成であること、一方でポリクロモスは、描き込みたい人向けの設計であることが見えてきました。
そして③の記事では、
紫・茶・グレーといった、雰囲気や陰影を左右する色域を比べることで、両シリーズの思想の違いが、よりはっきりと感じられました。
大人の塗り絵は趣味ではありますが、続けていくうちに、
- 色を重ねて深みを出したい
- 落ち着いた雰囲気を大切にしたい
- 微妙な違いを楽しみたい
と感じるようになる方も多いと思います。
そうした点で見ると、大人の塗り絵には、ポリクロモスがよく合う――
①〜③の記事を通して、そんな印象を持ちました。
どちらが優れているかではなく、「どんな楽しみ方をしたいか」によって、選ぶ色鉛筆は変わります。
この記事と、①・②の記事が、色鉛筆選びや、これからの塗り絵時間を考えるヒントになれば嬉しいです。
今回使用した色鉛筆
ファーバーカステル ポリクロモス60色セット
ポリクロモス色鉛筆60色セット
ファーバーカステル ゴールドファーバー48色セット
ゴールドファーバー色鉛筆 48色セット
最後までお読み頂きありがとうございます。



