生まれも育ちも奈良県で、明日香が大好きなみくるです。
飛鳥の謎を巡る「謎の石造物シリーズ」。 「亀石(かめいし)」、「猿石(さるいし)」と、ユニークな姿の石をご紹介してきましたが、第3弾の今回は、初めて見る方が間違いなく二度見してしまうであろうスポット――「マラ石(まらいし)」をご紹介します。
そのあまりにもストレートな名称と形。実はそこには、古代人が抱いた「生命」や「境界」への深い祈りが隠されていました。
祝戸の里に鎮座する生命力と結界の象徴「マラ石」
祝戸の里に佇む、巨大な「陽石」
奈良県高市郡明日香村島庄にある「石舞台古墳」から、飛鳥川に沿って坂を登り「祝戸(いわいど)地区」の入り口まで来ると、その石は現れます。

高さ約1メートル。斜めに傾いてはいるものの、男性器を模したその姿は、現代の私たちが戸惑うほど写実的です。
この石は、仏教考古学者の石田茂作氏によって命名されましたが、地元では古くから「なくてはならない存在」として大切にされてきました。

現地案内板より引用させて頂きます。
マラ石
明日香村にある謎の石造物の一つ。男性器を模したもので本来は真っ直ぐに立っていたともいわれている。地元では、飛鳥川をはさんだ対岸の丘陵を「フグリ山」と呼び「マラ石」と一対のものと考える説もある。
子孫繁栄や農耕信仰に関係した遺物と考えることもできよう。
ここで少し豆知識:明日香と飛鳥の使い分け
記事の中で「明日香村」と「飛鳥」を使い分けているのに気づきましたか? 今の住所としての場所を指すときは「明日香村」、歴史やロマンを語るときは「飛鳥」と書くのが通の楽しみ方なんです。
今回ご紹介した「マラ石」があるのは、現在の明日香村祝戸地区。 でも、この石が持つミステリアスな背景を考えると、やっぱり「飛鳥の謎」という言葉がしっくりきます。
今の景色を楽しみつつ、頭の中では古代の「飛鳥」にタイムスリップする。そんな歩き方がおすすめです。
古代史ファンの視点:なぜこれが「聖なる石」なのか?
単なる珍しい石として終わらせないのが、飛鳥巡りの醍醐味です。古代史好きの視点から、マラ石の正体について3つの説を紐解いてみましょう。
- 子孫繁栄と農耕のセット信仰 :マラ石の対岸にある小山は「フグリ山」と呼ばれています。この山を女性の象徴(陰石)に見立て、一対(ペア)とすることで、子孫繁栄や五穀豊穣を願ったという説です。
- 聖域を守る「境界の結界」 :かつて近くにあった大寺院「坂田寺」の領地を示す目印だったという説。生命力の象徴を置くことで、外からの邪悪なものを阻む「結界」の役割を果たしていたのかもしれません。
- 斉明朝の石造物ネットワーク: 亀石や猿石と同じく、斉明天皇の時代に造られたという説もあります。飛鳥の都全体を、石の力で守護しようとした壮大な計画の一部だったのではないでしょうか。
恐ろしい「血の伝説」
この石には、飛鳥らしいミステリアスな伝説が残っています。 かつて石工がこの石を加工しようとノミを入れたところ、中から赤い血が噴き出し、その石工はたちまち病に倒れて亡くなってしまったといいます。
「これ以上、人間の手で変えてはならない」という古代の意志が、この石を今に留めているのかもしれません。
シリーズを巡る旅のヒント
マラ石のすぐそばには「祝戸展望台」があり、明日香村を一望できます。 第1弾の亀石、第2弾の猿石とはまた違う、少し静かで神秘的な空気感を味わってみてくださいね。
次は、飛鳥で最も有名なあの場所……。 第4弾は「石舞台古墳」の、意外と知られていない謎に迫ります。
飛鳥の謎を巡る!「謎の石造物シリーズ」
明日香村に点在する、不思議な石造物たち。 一つひとつに、古代人の祈りや驚きの伝説が隠されています。 みくると一緒に、飛鳥のミステリーをコンプリートしてみませんか?
- 第1回:「亀石(かめいし)」
- 飛鳥を代表する人気者!その背後に隠された「斉明天皇」の影とは?
- 第2回:「猿石(さるいし)」
- 吉備姫王墓に佇む4体の異形。飛鳥資料館の「裏の顔」も必見!
- 第3回:「マラ石(まらいし)」(今ここ!)
- 祝戸の里に鎮座する、生命力と結界の象徴。
- 第4回:「石舞台古墳(いしぶたいこふん)」
- 教科書でおなじみの巨石。でも、なぜ「舞台」と呼ばれているの?
- 第5回:「酒船石(さかふねいし)」(次回の記事予定)
- 水を流したのか、お酒を搾ったのか……。ミステリアスな造形美に迫ります。
マラ石へのアクセス
奈良県高市郡明日香村祝戸192ー2
「国営飛鳥歴史公園」は、高松塚周辺地区・石舞台地区・甘樫丘地区・祝戸地区・キトラ古墳周辺地区の5地区総面積約60haからなり、それぞれの特色を生かした公園づくりが行われています。
「マラ石」がある「祝戸地区(いわいどちく)」は、飛鳥古京の南側にある通称ミワ山、フグリ山の一帯と、それに続く山麓の一部に位置します。

祝戸地区には駐車場が無いので石舞台古墳の近くに車を停めて歩いて行きました。

最後までお読み頂きありがとうございます。

