『古事記』や『日本書紀』の伝承地を訪れるのが好きなみくるです。
今回はイザナギとイザナミの国生み神話で知られ、神々がつくり出した最初の島「オノコロ島」の伝承地のひとつとして人気の景勝地「絵島」をご紹介します。
淡路島の景勝地「絵島」は記紀神話の伝承地
淡路島の北端に浮かぶ景勝地「絵島」
絵島は、淡路島の北端に浮かぶ島で、国生み神話に登場する「オノコロ島」伝承地のひとつです。
海人が活躍した明石海峡を背景に、長年の風波に洗われ描き出された造形美がおのころ島に見立てられたと考えられています。古くから景勝地として知られ、多くの和歌にも詠まれています。
砂岩層が露出した不思議な姿をしています。
夕暮れ時に訪れたので夕日に照らされ、神話の伝承地らしい神秘的な姿を見せてくれました。
絵島は「オノコロ島」の伝承地のひとつ
橋を渡った先に説明板がありました。
太古、イザナギ・イザナミの二神が、国づくりの最初に生まれた国が「オノコロ島」であり、淡路島を指すとされていますが、この絵島であるという説もあります。
島の頂上にある石塔は、平清盛の兵庫築造の祭に、人柱となった侍童、松王丸の菩提を弔うために建てられたものと伝えられています。
この島は、砂岩でできており、もとは陸つづきでしたが波の作用によって島となりました。
この自然が生み出した絵島は、周囲の山水との調和も見事で、特に夜景は「海に浮かぶ光の舞台」として、神秘的な姿で人々を魅了します。
島の美しさは万葉の昔から歌い詠まれ、多くの人々に愛されています。
「オノコロ島」の伝承地はいくつかあり、先にご紹介した「大和島」もそのひとつです。
➡【万葉歌碑巡り】 淡路島のパワースポット「大和島」名付け親は柿本人麻呂~明石海峡の景観と共に
国生みの舞台を思わせる奇石「上立神岩」がそびえ立つ「沼島」も「オノコロ島」の伝承地として人気の島です。
➡国生み神話の島【沼島】は人気のパワースポット!見所をまとめてご紹介(兵庫県淡路島観光)
風化が進み立入禁止に
陸から橋が架かっていますが、柵が設けられていて「立入禁止」となっています。
以前は入れたそうなのですが、風化が激しいために、2018年より立ち入り禁止となりました。風化は今後も進むと思われますので、上陸するのは難しそうです。
3500年前の珍しい地層
上陸はできませんが、橋の先のフェンス越しに地表を観察することができました。
地質学的に珍しい3,500万年前の岩屋累層・砂岩層が露出した小島で、岩肌の侵食模様が大変特徴的であり、1988年には県の指定文化財に指定されています。
松王丸の菩提を弔う石塔
頂上に鳥居と石塔が建っているのが見えました。
石塔は30人の身代わりに人柱となった平清盛の小姓「松王丸」の菩提を弔うために建てられたものです。
平清盛が大輪田の泊(兵庫の港)築造の際、淡路島や絵島の美しさについて松王丸とよく語り合ったことを思い出し、港の見える絵島の上に心を込めて建てたといわれています。
『平家物語』の「月見」の巻に、平清盛が月を愛でた場所として絵島が登場します。
(原文)
やうやう秋もなかばになりゆけば、福原の新都にまします人々、名所の月をみんとて、或は源氏の大将の昔の跡をしのびつつ、須磨より明石の浦づたひ、淡路の瀬戸をおしわたり、絵島が磯の月をみる。(現代語訳)
しだいに秋も半ばになりゆけば、福原の新都にいらっしゃる人々は、名所の月をみようということで、あるいは源氏の大将(光源氏)の昔の跡をしのびつつ、須磨より明石の浦づたいに、淡路の瀬戸をわたり、絵島が磯の月をみる。
西行も歌に詠んだ「絵島の月」
絵島に渡る橋の手前に西行の歌碑が建っていました。
千鳥なく 絵島の浦に すむ月を
波にうつして 見るこよひかな
西行(山家集)
(現代語訳)
千鳥の鳴いている絵島の浦の澄んだ月を、波に映して見ている。今夜の絵島は何と美しいことであろうか。
淡路 和歌の道 絵島
『平家物語』の「月見」の巻に「福原の新都に移った人々が、海峡を渡り、絵島の月を愛でながら歌会を催した」と記述があり、古来より多くの歌人を魅了してきた美しい砂岩の小島である。
絵島の説明板
絵島の美しさは古来より人々を魅了して来たのですね。
絵島へのアクセス
兵庫県淡路市岩屋884
岩屋漁港公園の駐車場を利用されると便利です。
岩屋漁港公園の駐車場は、絵島と同様「オノコロ島」の伝承地のひとつとされる「大和島」のすぐ近くにあります。
詳しくは大和島をご紹介したこちらの記事をご参照下さい。
最後までお読み頂きありがとうございます。